加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、詐欺の疑いで逮捕されたジャパンライフ元会長が、安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」の招待状を顧客勧誘に利用した問題に関し、招待者名簿などの再調査は行わない考えを示し、幕引きを強調した。加藤氏は「名簿が保存されていない。個々の招待者について改めて調べても、確たることは申し上げられない」と述べた。
 加藤氏は、元会長が政府の招待状を、顧客を勧誘する際に示していたことが被害を拡大させた可能性を問われたが「招待者、推薦元は個人情報であり、回答を控えている」と、従来の説明を繰り返した。
 加藤氏自身もジャパンライフの宣伝資料に「加藤大臣と会食した」「取り組みを非常に高く評価して頂いた」などと書かれ、広告塔として利用された経緯がある。加藤氏は、元会長とは会合で同席して意見交換しただけとして「何らそうした話があったわけでない。私の事務所から厳重な抗議をしている」と強調した。
 これに対し、立憲民主党の安住淳国対委員長は18日、「招待状が2000億円超の詐欺を生むきっかけになった。菅首相は『おかしいと思ったことは直す』と言っているのだから、疑惑にメスを入れてほしい」と再調査を要求した。(村上一樹)

◆広告に使われ「厳重な抗議」 会見一問一答

 18日の加藤勝信官房長官の記者会見でのジャパンライフ元会長逮捕を巡るやりとりは次の通り。
 ー被害者の救済策のあり方について見解を。
 「警察で全容解明に向けた所要の捜査が進められる。消費者庁が4回にわたり行政処分を行うなど、悪質商法に対する厳正な対処が行われてきた。制度面でも、消費者被害防止のための実効的な対策を検討している」
 ー野党は、桜を見る会の招待状が被害を大きくしたとして、再調査を求めている。
 「特定の個人の参加の有無について名簿が保存されていないこと、招待者、推薦元については個人情報であることから、回答を控えている。毎年多数の招待者がおり、名簿も保存されていない。個々の招待者について改めて調べても、確たることは申し上げることができない」
 ー政府としても捜査に協力するか。
 「今後必要があれば連絡をとっていくことはあり得る」
 ー同社の宣伝に長官の顔写真が使われた。説明責任を果たす考えは。
 「マスコミ主催の会合に出て、山口氏が現場におられた。それに尽きる。同社の広告的なものに使われたことに対しては、厳重な抗議をしている」

東京新聞
2020年09月18日 20時07分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/56447