菅義偉官房長官は11日の記者会見で、広島平和記念式典(6日)と長崎平和祈念式典(9日)での安倍晋三首相のあいさつが酷似していたことについて問われ、「どうしても同じような内容になってくる」と釈明した。あいさつの酷似をめぐっては、被爆者団体などから失望の声が出ているほか、インターネット上でも「コピペ」といった批判が上がっている。

 あいさつはいずれも「本日ここに、被爆75周年の」から始まり、構成や段落数はまったく同じ。広島や長崎といった地名や式典名が異なる以外は、全11段落中の10段落でごく一部の表現を除き、ほぼ同じだった。地名と式典名を除き、朝日新聞が同じ表現の文字数を数えたところ、1140字前後の二つのあいさつの約9割が一致した。

 結びの段落も地名以外は一言一句変わっていない。「永遠の平和が祈られ続けている、ここ広島(または長崎)市において、核兵器のない世界と恒久平和の実現に向けて力を尽くすことをお誓い申し上げます」といったものだった。

 菅氏は11日の会見で、あいさつは「原爆の犠牲になられた方々の御霊(みたま)に対する哀悼の気持ちや、唯一の戦争被爆国としての日本の立場を申し上げている」とも説明した。安倍首相の両式典のあいさつは過去にも前年と似ていると指摘された経緯がある。(楢崎貴司)

朝日新聞
2020年8月11日17時47分
https://www.asahi.com/articles/ASN8C5SJZN8CULFA013.html