新型コロナウイルスの対策として第1次補正予算に盛り込まれた消費喚起策「Go To キャンペーン事業」について、政府は5日、事務局を委託する事業者の公募を中止し、やり直すと発表した。委託費の上限が総事業費の約2割にあたる3095億円と巨額だったことや、手続きをまとめて民間委託することに批判が高まり、見直しを迫られた。

 同事業は総事業費1.7兆円。飲食店や土産物店での買い物や、イベントのチケット購入などに使えるクーポン・割引券を配り、観光地や商店街などでの消費を促すものだ。経済産業省は全体のまとめ役となる事務局の事業者を、6月8日を締め切りに公募していた。すでに1社が応募していたという。

 今回の見直しでは、この公募を中止したうえで、改めて支援分野ごとに分ける形で事務局の事業者を選ぶ。具体的には観光支援策を担う事務局は国土交通省、飲食店の支援策は農林水産省、商店街とイベント業界の支援は経産省が、それぞれ事業者を公募する。

 経産省は見直しの理由について、幅広い業界の支援を一つの事務局が担うと事務が複雑になると考え直したと説明。一方で、委託費の削減は見直しの目的ではないという認識を示しており、委託費の削減につながるかどうかは不透明だ。

 公募手続きが改めて始まるのは、数週間後になる見込み。政府が当初見込んでいた7月中旬ごろのキャンペーン開始は、遅れることになりそうだ。

朝日新聞
2020年6月5日22時22分
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