https://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/200528/plt20052820000009-n1.html
突破する日本

 検察庁法改正案への批判は、まったく的外れというしかない。検事総長らの「役職定年」延長の判断も、検察当局が行うことを前提としていたはずだ。それを内閣の検察人事への恣意(しい)的介入を可能にすると批判する人々は、彼らこそが「検察への政治介入」を企図していたはずだ。

 立憲民主党や国民民主党のルーツとなる民主党政権がそうだ。民主党の鳩山由紀夫政権では、千葉景子法相(当時)が2009年9月の就任時に「検察の暴走を民意がチェックする」「指揮権を絶対使わないということではない」と発言している。

 検察庁法には、法相が個別の事件について検事総長のみを指揮できるとする「指揮権」が規定されている。現場の検事への直接的な政治介入を防ぎつつ、検察をコントロールするものだが、発動されたのは、戦後は一度だけだ。造船疑獄(1954年)で犬養健法相が発動し、佐藤栄作自由党幹事長が逮捕を免れた。

 しかし、吉田茂内閣は世論の批判を浴び、犬養法相は辞任に追い込まれた。以後、政権は検察と一定の距離を取り、指揮権発動は「伝家の宝刀」となった。自民党政権での発動はない。千葉法相はそれをためらわないと発言したのだ。

 押収した証拠を改竄(かいざん)した容疑で特捜検事が逮捕された2010年9月の大阪地検特捜部事件では、菅直人政権の幹部や民主党幹部が相次いで検察への政治介入の可能性を示唆している。

(略)