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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍晋三首相は2月29日からの約3カ月間で計8回の記者会見を開いた。恒例になっているのが、20分間前後にわたる冒頭の「演説」だ。内閣支持率の大幅な下落もあってか、与党内でさえ「しゃべり方も、内容も良くない」(閣僚経験者)と評判は今ひとつ。だが、情緒的で大げさな表現の印象は強く残る。首相の「コロナ語録」を振り返ってみたい。

 8回目となった5月25日の記者会見。首相が2020年度2次補正予算案を説明する際に使ったのが「空前絶後」だった。1次補正を含めて「GDP(国内総生産)の4割に上る空前絶後の規模、世界最大の対策によって、この100年に1度の危機から日本経済を守り抜きます」。力強い内容だが、1次補正だけでも「世界的にも最大級の経済対策」だった。ネット上の感想を見ると、「空前絶後」を持ちネタとするお笑い芸人を思い浮かべた人も多かったようだ。

 四字熟語では3月14日に語った「一気呵成(かせい)」も印象的だ。この時も経済の落ち込みへの懸念を払拭(ふっしょく)すべく、「日本経済を再び確かな成長軌道へと戻すため一気呵成に、これまでにない発想で思い切った措置を講じてまいります」「機動的に必要かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じます」とたたみかけたが、実際には20年度1次補正予算成立まで、ここから1カ月半を要した。

 会見では国民を鼓舞する言葉も駆使されてきた。2月29日の新型コロナに関する最初の会見では「1〜2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」と語っていたが、その後も「不屈の覚悟で戦い続…

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毎日新聞2020年5月28日 07時00分(最終更新 5月28日 09時51分)
https://mainichi.jp/articles/20200527/k00/00m/010/270000c

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