>>109の続き
5 また仮に安倍総理の解釈のように「国家公務員法による定年延長規定が検察官にも適用される」と解釈したとしても、
 同法81条の3に規定する「その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職
 により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分の理由があるとき」という定年延長の要件に該当しないので
 あるから黒川氏の定年延長が違法であることに変わりはない。

6 (検察庁法改正案の問題点について)
  この改正案には「次長検事および検事長は63歳の職務定年に達しても内閣が必要と認める一定の理由があれば1年
 以内の範囲で定年延長ができる」旨の規定があり、この規定は内閣の裁量で次長検事及び検事長の定年延長が可能と
 する内容であり、前記の閣僚会議によって黒川検事長の定年延長を決定した違法な決議を後追いで容認しようとするも
 のである。
  同時にこれまで政界と検察との両者間には「検察官の人事に政治は介入しない」という確立した慣例を破壊するもので
 検察の人事に政治権力が介入することを正当化し、政権の意に沿わない検察の動きを封じ込め、検察の力を殺(そ)
 ぐことを意図している。

7 かつてロッキード事件で角栄をはじめとした政財界の大物逮捕に至ったのは検察上層部の不退転の姿勢、それに
 国民の熱い支持と、捜査への政治的介入に抑制な政治家たちの存在があった。
 検察の捜査幹部が押収資料を改ざんする恥ずべき事件もあった、そのことが今回のように政治権力につけ込まれる
 隙を与えてしまったのではないか、しかしながら、検察が萎縮し人事権まで政権側に握られ、起訴・不起訴の決定な
 ど公訴権の行使にまで掣肘(せいちゅう)を受けるようになったら検察は国民の信託にもはや応えることができなくなる
 であろう。
  正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない。

与党野党の境界を超えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁法改正案に「断固反対」の声を上げ
これを阻止する行動に出ることを期待してやまない。