安倍首相に 「五輪花道論」〜 続けるより難しい引き際 〜

首相として、どれほど栄耀栄華(えいようえいが)を極めようが、
やがては身を引く時がくる。その際、多くの首相は、自身から見て
「意中の人」を後継者に据えようと考える。

もしも、ギリギリまで粘った結果、ボロボロになってしまったら、
後継者の指名は不可能になるし、辞任を早まれば、後悔が残る。
年明け以降、安倍首相の言動からは、「引き際」が頭を
よぎり始めたのではないか。

通常国会冒頭の施政方針演説で、新たな看板政策を掲げるのではなく、
1億総活躍や地方創生といった過去の 「古看板」 を持ち出して、
その成果を強調した。

この演説の中で、なんと19回も「東京五輪」に触れた。安倍首相の
悲願である憲法改正にも触れてはいたが、以前に比べると迫力不足の
感は否めなかった。

外交面では、北朝鮮の拉致問題解決と北方領土返還という二つの
課題が前進する兆しは見えない。改憲に関しても、物理的な問題を含め、
その実現がかなり不透明になってきた。最長政権の割に、「レガシー」と
言えるようなものが見当たらない。

となれば、残るは 「五輪を成功に導いた首相」 が浮上してくる。
自民党内では以前から、秘かに 「五輪花道論」 がささやかれてはいた。
それが今、少しずつ顕在化し始めている。

時事ドットコムニュース 2020年2月6日号
https://www.jiji.com/jc/v4?id=20200216com0001