河井克行前法相(衆院広島3区)と妻の案里参院議員(広島選挙区)=いずれも自民党=は15日、公職選挙法違反の疑惑浮上から2カ月半ぶりに公の場に姿を現した。2人とも「捜査に全面的に協力する」としつつ、捜査中を理由に詳細は語らず、議員辞職や自民党離党も否定した。

 昨年7月の参院選で案里氏の陣営が法定上限を上回る報酬を車上運動員に支払った疑いがあるとして、広島地検が15日に広島市内の両氏の事務所を家宅捜索。これを受け、河井氏は同日午後10時から東京・赤坂の衆院議員宿舎で、案里氏は午後10時半から東京・麴町の参院議員宿舎で別々に取材に応じた。

 報道陣への連絡はいずれも約30分前の慌ただしさ。河井氏は「できるだけ正確なことを言いたいと考え、こういった時間になった」と釈明したが、疑惑に関しては「説明したい気持ちはもちろんあるが、刑事事件として捜査が始まっているので、差し控えることが適切だと思う」と述べ、具体的な言及は避けた。案里氏も「捜査機関に協力する」と繰り返した。

 河井氏は、疑惑を巡る週刊誌報道を受け、昨年10月31日に法相を辞任。それ以降、2人とも開会中だった臨時国会を欠席し、12月9日の閉会日にも姿を見せなかった。

 案里氏は当初、欠席理由を「所用のため」としていたが、12月4日には「体調不良」を理由に欠席。その後、自民党に「適応障害」のため「自宅で1カ月の療養が必要」とする同月5日付の医師の診断書を提出していた。

 河井氏は欠席の理由について、記者団に「国会審議に支障を来すことがあってはいけないと思い欠席した。妻の療養にも付き添っていた」とし、この間は「議員宿舎にいた」と説明した。一方、案里氏は、8年前から適応障害を患っていることを明らかにし、「悪化の兆候が見られたので療養していた。加療を続けながら政治活動を続けたい」と強調。広島地検からの聴取は「まだ受けていない」とした。

 20日召集の通常国会に関しては、河井氏は出席する意向を示し、案里氏も「体調を見ながらだが、そのつもりでいる」と述べた。【秋山信一、古川宗】

毎日新聞
2020年1月16日 05時15分
https://mainichi.jp/articles/20200116/k00/00m/040/005000c