https://www.asahi.com/articles/ASMB74GJXMB7UTFK009.html
国民投票法改正案の成立促す

 臨時国会は7日、衆院代表質問が大幅に遅れる事態となった。憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案をめぐる週末の大島理森衆院議長の発言が「混乱」の引き金を引いた。安倍晋三首相が呼びかけた改憲論議は、国会序盤からつまづいた格好だ。

 この日午後3時の予定だった衆院本会議での代表質問のスタートは、約1時間半遅れた。

 大島氏は国会召集の翌5日、地元・青森で開いたパーティーで発言。与野党で対立が続く国民投票法案に触れ、「臨時国会で合意を見つけてほしい」と述べて今国会成立を促した。さらに、「この国会で話し合う。与野党から相談があれば、いろいろなことを話す機会があるかもしれない」とも語った。
野党「スクラム組めない」

 この発言に、野党がかみついた。

 立憲民主党の安住淳・国会対策委員長は7日、「特定の法案について具体的に踏み込んだ発言をするのは議長らしからぬ発言だ」と反発。公正・中立であるべき議長としてふさわしくないとして、発言の撤回と謝罪を求めた。安住氏の指摘はこうだ。

 「ラグビーで言ったら議長はレフェリー。あっち(与党)は憲法、こっち(野党)は関電(問題)や消費税(増税)と言い、なかなかかみ合わない中で、レフェリーが『おまえら憲法やれ』といったら、スクラムが組めない」

 野党の反発を受け、大島氏は衆院議院運営委員会の高木毅委員長と会談。高木氏によると、大島氏は「今後、各党各会派からのご注意を真摯(しんし)に受け止め、議長としてさらに公正中立を心して一層努力して参りたい」と述べた。こうした「大島発言」は、高木氏が午前の同委理事会で読み上げた。
期待感があったのに……

 実は「安倍1強」の国会情勢が続く中、野党と太いパイプを持つ大島議長に対し、野党側はこれまで期待感もにじませてきた。大島氏は昨年8月、森友学園問題について「行政を監視する国会が責務を十分に果たしたか検証の余地がある」と言及。疑惑解明に本腰の入らない政権・与党に苦言を呈した。

 そうした大島氏の立ち位置を揺るがせかねないとも言える今回の発言だけに、野党側は反発を強めている。今国会冒頭の所信表明演説で安倍首相が呼びかけた憲法改正の論議に野党が応じる地合いは、さらに遠のいたと言えそうだ。

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 第200回臨時国会。国会論戦や各党の動きなど、政治家たちの様子を「国会ひとコマ」としてお伝えします。(三輪さち子、清宮涼)