ヘイト、炎上……「差別」はなぜなくならない? 杉田水脈問題から考える
著者は語る 『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(綿野恵太 著)

「週刊文春」編集部 17時間前
source : 週刊文春 2019年9月19日号


 職場ではパワハラ、セクハラに気をつけ、ツイッターなどSNSでは差別的な発言で炎上しないように心がける。「差別はいけない」という原則は今や私たちの日常生活に浸透している。しかし、在日朝鮮人・韓国人に対するヘイトスピーチは止まず、女性蔑視を平然と口にする米国大統領が誕生し、欧州では移民排斥を唱える政党が躍進している。

 差別をめぐる争いが激化し、混迷が深まるなか、その状況をどう受け止め、行動すればいいのか。そんな問いに答えを出す指針を与えてくれる本が刊行された。書いたのは批評家の綿野恵太さん。執筆の契機は2018年、自民党の代議士・杉田水脈(みお)が「新潮45」に「LGBTは生産性がない」と書いたことに批判が殺到したことだった。

「文芸評論家の絓(すが)秀実さんが1994年に書いた『「超」言葉狩り宣言』という差別問題を論じた本を熱心に読んでいました。それが書かれたころと杉田水脈問題が起きたときの差別をめぐる言説は、かなり様変わりしました。その違いはどこから来ているのかを考え始めたことが本書の出発点です」

 杉田水脈の文章に対しては、LGBT以外の人々も批判の声を上げた。それは「シティズンシップ」の論理に基づいていたと綿野さんは指摘する。自分たちが生きる社会が大切にしている「差別はいけない」という原則が踏みにじられたことを「市民」としての尊厳を傷つけられたことだと受け止め、批判する論理だ。
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://bunshun.jp/articles/-/14076