終戦から74年となった15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館(東京都千代田区)で開かれた。5月に即位した天皇陛下が、皇后さまとともに初めて出席。昨年までの上皇さまと同様、「深い反省」という言葉を交えながら「おことば」を述べた。令和最初の追悼式には、全国の遺族約5300人が参列。約310万人の戦没者を悼み、不戦の誓いを新たにした。

 追悼式では、正午から参列者全員で1分間黙禱(もくとう)した後、天皇陛下が「深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬこと」を切に願うとする「おことば」を述べた。上皇さまが戦後70年となる2015年の追悼式から用いてきた「深い反省」という表現を使うなど、上皇さまのおことばの大半を継承した。

 これに先立ち、安倍晋三首相は式辞で「戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この誓いは、昭和、平成、そして令和の時代においても決して変わることはありません」とし、5年続けて不戦を誓った。

 1993年の細川護熙氏以降、歴代首相は式辞でアジア諸国への加害責任に触れ、「深い反省」や「哀悼の意」などを表してきた。だが、安倍首相は第2次政権発足後の13年から、7年連続で言及しなかった。

 厚生労働省によると、参列予定だった遺族は5391人。配偶者は85歳以上の5人(全体の0.1%)で、兄弟姉妹は339人(6.3%)、子は2751人(51.0%)、孫は451人(8.4%)、ひ孫は140人(2.6%)。戦後生まれが30.6%となり、初めて3割を超えた。ただ、台風10号の影響で一部の参列予定遺族は欠席となった。遺族を代表して、父親が東部ニューギニアで戦死した横浜市の森本浩吉さん(77)が追悼の辞を述べた。(西村圭史、長谷文)

朝日新聞
2019年8月15日12時27分
https://www.asahi.com/articles/ASM8G5V35M8GUTFK008.html