日本とナチス・ドイツ
――侵略軍と「慰安婦」制度との密接な関係

なぜ日本軍に強姦が多かったのか、そして「慰安所」をつくったのか。
この背景には侵略戦争であったという事実があると私は思っています。
たとえば、自らの郷土を守るための戦い、他国から侵略されて自分たちの国で戦うのであれば、「慰安所」などつくらないのではないでしょうか。
第2次世界大戦の中で「慰安婦」制度をつくったのは、日本とナチス・ドイツだけでしたが、両者が侵略軍であったことと密接に関連していると私は考えています。

なお、朝鮮戦争のとき、韓国軍が「慰安所」を持っていましたし、韓国政府は米軍に「慰安所」を提供したということがあります。これらのことは韓国の文書で明らかにされています。

ここで重大な問題は、朝鮮戦争時、韓国軍の幹部のほとんどが旧日本軍人だったという事実です。

日本の陸軍士官学校などで学び、第2次大戦では日本兵あるいは日本軍の指揮下にいた旧満州国軍の将兵だった旧日本軍人が韓国軍の中心にいて、そして日本軍が犯した「慰安所」をつくるという行為まで引き継いでしまったわけです。

韓国軍が「慰安所」を設置したことは問題ですが、その背景には旧日本軍の存在があることを認識した上で、批判をしなければならないのです。

【関東学院大学・林博史教授談、文責=井上伸】