技能実習先から逃げてきたベトナム人を就労させた疑いで逮捕された兵庫県尼崎市の人材派遣会社の社長が、入国管理局から採用要請があったと主張した問題で、2日後に釈放された社長本人が9日、朝日新聞の取材に応じた。社長は「要請がなければ(雇用は)絶対しない。危ない橋は渡れない」と語り、入管側との詳細なやり取りの記録もあると明かした。

 取材に応じたのは中国籍のソニンバヤル=通称・五十嵐一=社長(35)。不法残留などのベトナム人7人を工場に派遣した出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で3日に兵庫県警に逮捕された。翌日、弁護人が会見し、大阪入国管理局(現・大阪出入国在留管理局)からベトナム人の採用要請があったと主張。神戸地検は勾留請求せず、社長は5日に釈放された。

 社長側によると、昨年6月にベトナム人約10人の応募があった際に入管に相談し、在留カードの偽造が判明。入管側から「一網打尽にしたい」と積極的な採用を要請され、入管が同年9月に一斉摘発するまでの間に追加採用も含めて計約30人を雇ったという。要請時の状況について、社長は「大阪入管の5階で担当者2人に会った。その後に幹部も出てきた。『協力して下さい』と言われた」などと述べた。

朝日新聞
2019年6月10日11時19分
https://www.asahi.com/articles/ASM6B0DXQM69PIHB00F.html