■遠くなる辺野古 ふさがれるチェックの目

 ドローン規制法改正案が成立すると、辺野古新基地建設現場の取材はどうなるのか。参院内閣委で可決された16日、現場で試してみた。

 米軍キャンプ・シュワブ訓練水域が飛行禁止区域に指定されれば、米軍の同意がないドローンはそこからさらに約300メートル外側でしか飛ばせなくなる。

 規制の境目と想定される、名護市安部のポイントから離陸、上昇させたが、建設現場までは約3・8キロもあり、ドローン撮影してみたものの、土砂運搬船や護岸がかろうじて分かる程度。具体的な作業の様子はまったく確認できない。工事をチェックする目をふさがれる危機感が募った。(写真部・金城健太) 

■飛行制限さらに拡大も

  【東京】参院内閣委員会は16日、小型無人機ドローンによる自衛隊や在日米軍基地上空の飛行禁止を盛り込んだドローン規制法改正案を与党などの賛成多数で可決した。質疑で政府側は、飛行が規制される区域300メートルについて今後拡大することを示唆。また、対象施設周辺の上空を飛行する際の管理者(司令官)の同意・不同意は「行政処分には当たらない」との解釈を示し、これらの判断について司法の場で争えない問題点も露呈した。法案は17日に参院本会議で可決・成立し、早ければ6月中旬にも施行される。

 質疑で社民党の福島瑞穂氏は、名護市辺野古の新基地建設工事の状況をドローンで撮影できなくなると指摘。防衛省の担当者は「取材活動を制限する意図はない。米軍にも適切な対応を要請し、理解しているとの回答を得ている」と述べた。

 また内閣官房の担当者は対象となる施設周辺でのドローン飛行の申請に対する施設管理者の同意、あるいは不同意は行政処分に当たらないとの見解を提示。これに対し、福島氏は「米軍が許可しなかった場合も行政事件訴訟法で争えない」と指摘した。

 このほか規制の対象となる基地周辺は一律約300メートルの地域が飛行禁止となる事について、山本順三国家公安委員長が「この300メートルが恒久的にそれでいいのかどうか。ドローンの技術開発も非常にスピードアップしており考えながら対応していきたい」と発言。今後、規制の範囲を拡大することも示唆した。 

 委員会では「必要な限度を超える規制が行われた場合、取材・報道の自由や国民の知る権利が損なわれる」として、政府に配慮を求める付帯決議を採択した。

沖縄タイムス
2019年5月17日 05:30
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/420655

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