北方領土返還に関し「戦争をしないとどうしようもなくないか」と発言した丸山穂高衆院議員(日本維新の会を除名処分)を巡り、日本維新の会は16日、立憲民主党に丸山氏に対する辞職勧告決議案の共同提出を要請した。立憲は党内で対応を協議する。立憲が共同提案に応じれば、近く衆院に提出され、21日にも衆院本会議で採決される。

 維新の衆院議員(11人)は提出に必要な20人に満たない。維新は当初、丸山氏を既に除名処分にしたことなどから「決議案が出れば賛成する」との方針だった。これに対し、16日の衆院議院運営委員会理事会で立憲や共産党が「丸山氏が所属していた維新から各党に働きかけるのが筋だ」と反発した。

 その後、維新の松井一郎代表(大阪市長)は16日、遠藤敬国対委員長と電話で協議し「(共同提案を)立憲民主党に頼んできたらどうか」と指示。遠藤氏は国会内で衆院議運委の手塚仁雄野党筆頭理事(立憲)と会談し、「ぜひ力を貸していただきたい」と決議案提出を要請した。維新の方針転換は、夏の参院選などを控え、党のイメージ悪化を回避する思惑もあるとみられる。

 ただ、過去の決議案の大半が刑事事件に伴うものだったことから、発言を理由とする辞職勧告には与党を中心に慎重論が根強い。立憲や国民民主党、共産など他の野党も、決議案提出には前向きの姿勢を示しつつ、「発言による辞職勧告」を前例とすることに懸念を示す声もある。

 与野党がまとまり、決議案が提出・可決されても法的拘束力はない。維新は丸山氏に辞職するよう説得を続けているが、丸山氏は15日、自身のツイッターへの投稿で「可決されようがされまいが任期を全うする」と辞職を否定した。

 丸山氏は11日、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した際、元島民で訪問団長の大塚小弥太さんに「ロシアと戦争で取り返すのは賛成か反対か」と質問。大塚さんが「戦争なんて言葉を使いたくない」と答えたところ、「戦争をしないとどうしようもなくないですか」と戦争を容認するような発言をした。【浜中慎哉、立野将弘】

毎日新聞
2019年5月16日 20時50分
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190516/k00/00m/010/245000c