横田基地に新たな指揮所検討=対中念頭、
在日米空軍に「統制権」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019042000218&;g=int

米空軍が横田基地に作戦計画の策定や実行を
担う新たな指揮所「航空宇宙作戦センター
(AOC)」の設置を検討していることが
19日、複数の米軍筋への取材で分かった。
紛争時に一定の条件下で在日米空軍(第5空軍)に「作戦統制権」が与えられた際、AOC
が司令官の決断を補佐する構想。実現すれば
在日米空軍の作戦遂行能力が強化されると
ともに、より密接な自衛隊との連携も可能に
なる。
 太平洋空軍傘下にある在日米空軍は作戦統制権を持たず、ハワイの太平洋空軍司令部に
ある「第613航空宇宙作戦センター(613AOC)」に作戦計画の策定や実行を頼ってきた。だが、中国との軍事衝突が起きれば、
サイバー・電磁攻撃で通信が遮断される恐れがある。米軍は中国やロシアとの軍事衝突を
見据えて統制権の分散や部隊運用の柔軟性強化を進めており、横田基地へのAOC設置も
その一環とみられる。
 米軍筋は「司令部との通信が途絶えるなどの非常事態においても在日米空軍が機能停止に
陥らず、作戦目標を達成するための機能を持つことが重要だ」と指摘。情報収集や攻撃目標
の選定などで司令官の決断を支援する小規模なAOCを横田基地に設置し、非常時の部隊
運用を可能にする統制権の付与が検討されていると語る。
 別の米軍筋によれば、小規模な紛争の際にもハワイからの指示を待たず、独自に対応する
権限が与えられる可能性がある。いずれの場合も横田基地のAOCは613AOCに従属
する形となる。
 また、在日米空軍は傘下部隊の運用に関する全ての指示を太平洋空軍に仰ぐ必要がある
ため、現場での部隊運用に遅れが生じること
があった。同筋は「横田基地にAOCが設置されれば、自衛隊とのリアルタイムの連携も
可能になる」と強調。「特に迅速な意思決定が不可欠な防空・ミサイル防衛能力を強化する
上で重要だ」と語る。
 米軍は自軍や同盟国の陸海空の防衛資産を
一体運用し、各種ミサイルや有人・無人航空機などの脅威に対抗する「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」構想を進めている。日本政府
も昨年12月公表の新しい防衛計画の大綱で、IAMD体制確立を目指すと明記。米軍が
AOC設置を検討する背景には日米間でIAMD能力を高める狙いもありそうだ。