「6月の日銀短観で、この先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない」――。18日のネット番組でこう発言し、消費増税の延期の可能性を口にした自民党の萩生田光一幹事長代行。党内外から批判を浴び、きのう19日、「個人の見解を申し上げた」と釈明に追われた。

 あの麻生財務相が「日銀短観という言葉を知っていたか」と皮肉るほどだったが、実は萩生田氏の問題発言はそれだけじゃない。

 消費税発言が飛び出したのは、保守系ネット番組で知られる「真相深入り!虎ノ門ニュース」(DHCテレビ)。中心メンバーが安倍首相主催の「桜を見る会」に招待されるほど、安倍政権と“仲良し”の番組だ。

 安倍首相の最側近とされる萩生田氏にとっては、まさに“ホーム”。リラックスしすぎたのか、問題発言を繰り返したのである。

まず韓国への経済制裁を示唆した上で「韓国から買うもので、(日本に)入ってこなくて困るものはあんまりない。ジンロと焼き海苔とキムチだから」と発言。韓国の反日感情を逆なでする暴言だが、なぜか萩生田氏はニヤけていた。

■二階幹事長にケンカ売ったも同然

 極め付きは、二階幹事長が200人の議員団を引き連れて訪韓するとの話題を振られたときだ。

 萩生田氏は二階氏を「政敵にも笑顔で接することのできる稀有な存在」と持ち上げつつも、半笑いで「200人って誰が行くの?」とチクリ。二階氏が聞いたら激怒しそうなものだが、萩生田氏の“ワンパク”ぶりは止まらず、二階氏が反対していた大阪都構想についても「二重行政を解消しようというのは極めてスッキリした提案」と、二階氏とは真逆の評価をしたのだ。これでは、二階氏にケンカを売っているのも同然である。

「萩生田さんは安倍首相の『スポークスマン』に等しい存在。『萩生田さんの発言=安倍首相のご意向』と考えるべきです。消費増税延期の可能性を示唆したことを『個人の見解』と釈明したところで、誰も額面通りに受け取りませんよ。もともと、安倍首相が子飼いの萩生田さんを幹事長代行に就かせたのは、二階幹事長の『監視役』としてだとみられていました。二階幹事長は『あの野郎』と怒っているはずです」(政治評論家・本澤二郎氏)

 萩生田氏は官房副長官時代に、野党の国会対応を「田舎のプロレス」とヤユし、謝罪・撤回したことがある。

 安倍政権には、まともに反省できる人はいないのか。

日刊ゲンダイ
19/04/20 14:50
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