■市議会レベルでも沖縄に関心が寄せられている

 県議会だけではない。市議会レベルでも沖縄に関心を寄せる決議がなされている。集会の受付に「引き取る・首都圏」のメンバーである米須(こめす)清真さんがいた。

 米須さんは沖縄出身で、現在は東京都小金井市に住む。昨年、たった1人で「普天間飛行場の辺野古への移設計画の即時中止を」との陳情を市議会に提出し、昨年12月6日、市議会は賛成多数でその陳情を採択した。移設問題を全国で議論することなどを求める意見書を、賛成多数で可決したのだ。  

 同様の動きはまだある。やはり沖縄出身で東京都小平市に住む女性が陳情を小平市議会に提出し、今年2月25日に賛成多数で可決されている。  また市民運動に目を向けても、「沖縄の米軍基地を『本土』で引き取ろう」との市民団体も、2016年には3つくらいしかなかったのが今では9つにまで増えている。  

 まだまだ層は薄いが、沖縄のことを日本の問題だと捉える議会や市民は着実に増えていると言える。

■かつてはまったく理解されなかった「基地引き取り」論

 従来「本土」のマスコミが沖縄の基地問題を扱う時は、常套句のように「沖縄の声に寄り添おう」といった論調がほとんどだった。。  

 この日、パネラーとして発言した『朝日新聞』社会部デスクの谷津憲郎さんは沖縄に2回赴任したことがあるが(1回目は2002年。2回目が2011年から2014年)、自身も、マスコミも変わってきたと捉えている。  

 1回目の赴任では、沖縄県民の多くが基地問題に悩みながらも「こういう苦しみを県外なんかに押し付けられんさあ」との声が圧倒的多数で、「引き取って」を主張する沖縄の活動家もいたが、その声は「とんがっているな」としか感じることができなかった。  

 2回目の赴任時の2012年には、沖縄に米軍基地が集中し、それがほとんどなくならないのは「本土による差別があるから」との持論をもつに至る。その持論を朝日本社は「何を言っているのか」とまったく理解されなかったという。

3につづく