戦時中日本に労務動員された徴用工を象徴する像を韓国の市民団体が釜山の日本総領事館前に設置しようとしている問題で、釜山市と市民団体は17日、市議会を中心に市民100人による円卓会議をつくり、設置場所を決めることで合意した。釜山市は12日に総領事館近くの歩道に設置された像を強制的に撤去したが、会議の結果次第で再設置される可能性が出てきた。

 呉巨敦(オゴドン)・釜山市長は同日の記者会見で「(市が保管中の)像は返還する」と述べた。撤去後、市民団体を主導する全国民主労働組合総連盟のメンバーが連日、釜山市役所に押しかけて猛抗議し、警官隊が出動する騒ぎになっていた。釜山市の対応は、こうした活動に配慮した可能性がある。

 日本政府は総領事館前への像設置は「(在外公館の安寧や威厳の維持を定めた)ウィーン条約の規定に照らして問題だ」(菅義偉官房長官)として、韓国政府に対応を求めている。外交筋によると、釜山市が12日に撤去に踏み切った背景には、日韓関係を考慮した韓国大統領府の意向があったという。(ソウル=武田肇)

朝日新聞
2019年4月17日12時51分
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