■渦中の東京福祉大、元教授が緊急記者会見

 大量の留学生が行方不明となった東京福祉大学(東京都豊島区)。同大学の教授だった田嶋清一氏は4月10日に記者会見を開き、元総長である中島恒雄氏が「金儲け」のために留学生を大量に受け入れていたと告発した。  

 同大学では、2018年度に「研究生」として受け入れた留学生3200人のうち、688人が行方不明となっている。2016年度からの3年間では累計で1400人が所在不明になっているという。

 「研究生」とは、学部の正規課程に進学するための準備として、日本語や日本文化を学ぶ留学生のことを指す。授業に出席するのは、週に10時間以上でよいという。  

 同大が大量の留学生を受け入れたのは、収入の確保が目的だったのではないかと指摘されてきた。

■「そしたら、ガバチョガバチョじゃん」

 田嶋さんは2011年9月に行われた会議の議事録と録音データを公開。実際に、中島氏から「金儲け主義」とも思えるような発言があったと指摘した。議事録によると、経営学部の新設を目指す会議の中で、中島氏は以下のような発言をしている。

 「120億の金が入るわけだよ、専門学校で。大学より大規模になっちゃう、もうかるの。何でそれをやらんの。聞いてんだよ、おい」 「そいで4年間やりゃあ、上手にやりゃ、おまえ、今の勝手な試算だけど、120億入るって。どうだ伊藤、すごいだろ、おまえ。このアイデアは」 「そしたら、ガバチョガバチョじゃん」 (表記は全て議事録ママ)  

 これ以外にも中島氏は、“いくら儲かるのか”という話を繰り返ししている。田嶋氏は、「学校運営の目的が、教育や研究ではなく、金儲けにすぎなくなっている」と中島氏を批判した。

■出所後も大学の経営に関与

 中島氏は2008年1月に強制わいせつ罪で逮捕され、懲役2年の実刑判決を受けている。それ以降、表向きは大学の教育と研究に関与してこなかったが、実際には影響力を保持し続けていた。今年3月末の職員研修会にも参加し、大学側に問題はないことや報道が誤っていることを主張していたという。  

 女子留学生への不適切な行為もあったという。田嶋氏は「十数年前から自宅に女子留学生を宿泊させています。中島氏に近しい人物によると『留学生たちに夜の相手をさせている』といいます」と話す。裁判で意に反した性行為があったことを認められた留学生がおり、彼女には(中島氏から)示談金を支払われています。

■「留学生30万人計画」の影で留学生が食い物にされている

 指宿昭一弁護士は、「こういう大学があってもいいのか」と同大のあり方を批判する。

 「留学生は金儲けの道具ではありません。『留学生30万人計画』の影で、こうした不適切な学校に食い物にされる留学生が後を絶ちません。大学と中島氏の責任を明確にするべきでしょう」  

 2008年に策定された「留学生30万人計画」。留学ビザの発給基準も緩和され、2018年5月には、大学や日本語学校などに在籍する外国人留学生が約29万8000人に達した。こうした拙速な受け入れが、大量の留学生の行方不明というひずみをもたらしたと考えられる。 <取材・文/HBO取材班>

ハーバービジネスオンライン
2019.04.10
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