4月1日の新元号発表をめぐる菅義偉官房長官と安倍晋三首相の“どちらが目立つか対決”は菅氏の「圧勝」だった。2人の明暗を分けたのは、「令和」の書を掲げて大々的に取り上げられた菅氏と、“上から目線”との意見も出た安倍氏による元号の由来を説明する会見だけではない。

 見落とせないのは自民党候補と大阪維新の会の候補が激突した大阪府知事選と市長選のダブル選挙だ。

 維新の「後ろ盾」といわれる菅氏はラジオ番組(『政界キーパーソンに聞く』ラジオ日本・3月31日)で、大阪ダブル選について「大阪はあまりにも職員の数が多すぎる。しっかり改革してほしい」と大阪都構想を掲げる維新にエールを送り、一足早い“勝利宣言”と受け止められた。

 しかし、安倍首相は自民党が推薦する府知事候補と市長候補に官邸で面会していた。菅氏の勝利宣言は首相の顔に“泥を塗る”行為と言われても仕方がない。

 新元号発表と大阪ダブル選で首相に“連勝”した菅氏は、いよいよ首相の得意分野である外交の表舞台に登場する。

 拉致問題担当相を兼務する菅氏は新天皇の即位関連の儀式が一段落する5月の連休後に訪米し、ニューヨークの国連本部で行なわれる人権関連の会合に出席、米政府要人との会談も調整中と報じられている。

国の危機管理の責任者である官房長官の外遊は異例だが、菅氏は内政の人で、自民党内では「総理になるには米国とのパイプが欠かせない。菅さんには外交経験がないのがネック」と見られていた。訪米が実現すればその弱点をクリアする。

 内政では「影の総理」と呼ばれるほどの力を持つ菅氏が、外交デビューすれば、いよいよ「総理への階段」を駆け上がる準備が整う。

※週刊ポスト2019年4月19日号
2019.04.09 07:00
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