保守分裂の上、総務省時代の上司、部下による異例の戦いとなった福井県知事選。自民党推薦の新人・杉本達治氏(56)が現職の西川一誠氏(74)に約9万票差で勝利した。

 地元の自民県議は杉本派と西川派で割れ、大モメだったが、最後までどっちつかずで中途半端だったのが、稲田朋美筆頭副幹事長(衆院福井1区)だ。

「稲田さんは県連顧問という立場上、知事選中、ちょくちょく地元に入っていましたが、杉本さんの隣でマイクを握るといった表立った動きはなかった。自らの選挙で“手足”となって活動する市議が多い杉本陣営には『私の心は杉本さんにある』と話す一方、西川陣営には『党本部は(杉本の)推薦ではなく、党議拘束のかからない支持にとどめる』とあやふやなことを言っていました。どちらにもいい顔をしていたわけです」(地元記者)

 稲田氏は先月22日付の地元の福井新聞に「なんとか保守が一丸となって戦うことができないものか…」と苦しい胸の内を明かすそぶりで語ったが、本心なのかは疑わしい。25日には、県知事選とは関係ない大阪市内であった統一地方選の集会に「女性議員飛躍の会」代表として登壇。「地方の女性議員の割合があまりにも少ない」と訴えた後、ちゃっかり政治資金パーティーまで開いていた。

「稲田さんは表舞台から遠ざかっていますから、『ポスト安倍』に向けて存在感を示したいのでしょう。地元の県知事選より自らの足場固めを優先させた格好です。ただ、17年都議選で『自衛隊としても支援をお願いしたい』と失言。彼女は自民大敗の“戦犯”でした。杉本、西川両陣営とも『来てほしくない』が本音だったようです」(福井県政関係者)

 “復権”は無理じゃないか。

日刊ゲンダイ
19/04/08 14:50
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