日本政府は、スイス・ジュネーブで開かれている国連人権理事会に、2008年以降続けてきた対北朝鮮非難決議案の提出を今年は見送る方針を固めた。拉致問題をめぐって日朝交渉の糸口を探る安倍政権が、北朝鮮に配慮した形だ。

 複数の日本政府関係者が明らかにした。関係者によると、日朝首脳会談の実現を模索する日本に対し、北朝鮮が一向に対応しない現状を変える狙いがある。北朝鮮への批判姿勢をいったん弱めることで、日朝交渉に対する日本政府の前向きな姿勢を示すという。2月の米朝首脳会談で合意ができず、拉致問題の進展が見通せなくなったことも要因の一つとみられる。

 安倍晋三首相は、昨年の米朝首脳会談後、「次は私自身が正恩氏と向き合う」と表明したが、日朝首脳会談が実現する機運は生まれていない。日本政府関係者は「人権について国際社会から批判されることを北朝鮮は嫌がっている」と背景を説明する。

 人権理事会に対しては、これま…

朝日新聞
2019年3月13日4時0分
https://www.asahi.com/articles/ASM3F05NCM3DUTFK02C.html