来年度予算案は2日未明に衆院を通過。年度内の成立が確定したが、予算委員会の審議で際立ったのが、安倍政権のデタラメぶりだ。数の力におごって議論を軽視し、不都合な事実は隠蔽する。こういう悪辣政権に、野党はどう対峙していくのか。国民民主党の玉木雄一郎代表に話を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 予算審議で明らかになってきたのは、国民生活の実態は悪くなっているのに、統計をいじって「良くなった」と見せかける国家的隠蔽工作です。

 ところが、与党の閣僚は聞いたことにマトモに答えず、聞いてもいないことを長々と話す。資料やデータを出さず、出てきたと思ったら間違っていたり改ざんされていたりする。これでは議論が成り立ちません。

 例えば、毎月勤労統計の問題。

 昨年の実質賃金は明らかに下がっていて、われわれの計算では「マイナス0.3」なのに、「プラス0.2」と言い張っている。アベノミクスの6年間で実質賃金が対前年度プラスになったのは、2016年だけですよ。国民生活が悪くなっていることを認めて、改善策を考える必要があるのに、表面だけ糊塗して経済政策がうまくいっているフリをする。

 安倍首相はよく「総雇用者所得は増えている」「家庭の金融資産も増えている」と自慢しますが、ものすごい金持ちがいれば、合計や平均値はハネ上がります。99人いたら50番目の「中央値」に着目しなければいけない。格差が広がっていることが問題なのに、いつも合計や平均値の話ばかりで、一人一人の生活の現実に目を向けようとしないのです。

 それどころか、あまねく集めた税金を所得の高い人に振り分けるという、ワケのわからない再配分をするわけです。消費増税時の軽減税率も、所得の高い人ほど恩恵を受ける。約1兆円の軽減分のうち、低所得者層に還元されるのは全体の11%程度で、9割が中高所得者向けです。

 増税分の使いみちでも、所得1500万円の層は増税による負担増が年間およそ7万円に対し、幼児教育の無償化で66万円もの減免メリットを受ける計算です。一方で、所得が260万円以下の層は1万5000円くらいのメリットしかありません。車や住宅購入の支援策も金持ち優遇策でしかない。

 安倍政権では権力に近い人やお金持ちだけがいい思いをし、庶民は負担ばかりを押し付けられる。そういう金持ち優遇政治で本当にいいのでしょうか。今、必要なのは米国追従から脱却して日本を守り、一般庶民の生活を豊かにする政治です。国民のための政治、家計ファーストの経済政策に変えなければなりません。

 そのためには、やはり野党がまとまるしかない。今、国会で自由党と統一会派を組んだのは最初の一歩。合併に向けて、丁寧に進めているところです。他の野党ともいろんなルートで話をしている。本気で政権を倒そうと思ったら、自公政権に代わる選択肢を示さないとダメだ。民主党政権の反省はもちろん必要ですが、国民の生活を良くするという大きな目標のもとに結集する。野合批判にひるんで躊躇している場合ではありません。

日刊ゲンダイ
19/03/03 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/248651/