厚生労働省の特別監察委員会が27日に公表した毎月勤労統計の不正調査問題に関する追加報告書に対し、野党は「身内に甘すぎる」と一斉に批判した。組織的隠蔽(いんぺい)は否定できないとして、報告書の疑問点を国会で追及する構えだ。

 報告書で監察委は、厚労省の担当課職員らが不正調査を「意図的に隠したとまでは認められない」と判断。意図がないので隠蔽もないという結論を導き出した。一方で不正の背景を「課という組織としての独自の判断または怠慢」と指摘した。

 これについて立憲民主党の逢坂誠二政調会長は「それを認めながら、組織的ではないというのはひどい。全部、自分たちの都合のいいように解釈している」と批判。「自己都合報告書」「お笑い第三者報告書」とこき下ろした。

 27日の厚労省に対する野党合同ヒアリングでは、監察委の第三者性に疑問の声が上がった。共産党の高橋千鶴子衆院議員は、委員の広松毅東京大名誉教授がかつて、調査対象の入れ替え方法を議論した同省の「毎月勤労統計の改善に関する検討会」に協力者として出席していたと指摘。立憲民主党の長妻昭代表代行は、監察委の樋口美雄委員長は厚労省の外郭団体の理事長を務めているため中立的に運営しにくいという見方を示し、「委員会が気の毒だ」と述べた。

 自民党は27日、厚労部会で厚労省から報告書の説明を受けた。小泉進次郎部会長は「組織的隠蔽はないが、組織的怠慢、組織的不適切はあるということか」と詰め寄り、「組織体制の見直しを含めて焦点になってくるので、しっかり考えてもらいたい」とクギを刺した。

 安倍政権は、統計不正を厚労省内のガバナンスの問題にとどめて、早期に沈静化させようとしている。閣僚経験者は「野党は今後も騒ぐだろうが、これ以上は何も出ない。安倍晋三首相が関係していないのは明らかだから、『モリ・カケ』問題のようにはならない」と余裕をみせた。【小田中大、田中裕之】

毎日新聞
2019年2月27日 20時27分
https://mainichi.jp/articles/20190227/k00/00m/010/236000c