衆院予算委員会は十八日午前、安倍晋三首相と関係閣僚が出席し、毎月勤労統計の不正調査に関する集中審議を行った。当時の中江元哉首相秘書官(現財務 省関税局長)が厚生労働省にサンプル調査している中規模事業所を総入れ替えした後に、賃金伸び率が下がるとの問題意識を二〇一五年三月に伝えた直後、同省が「毎月勤労統計の改善に関する検討会」の設置を決めたことが明らかになった。

 中江氏の問題意識伝達が、一八年一月からの調査方法の変更や基準変更の発端になり、賃金の伸び率が過大になった可能性が出てきた。立憲民主党の長妻昭氏は、問題意識伝達後、厚労省側とどのようなやりとりがあったのか質問した。中江氏は厚労省幹部から「『厚労省内で議論した結果、専門家を交えて検討会を始めることとした』との報告を受けた」と説明した。

 毎月勤労統計のあり方を話し合う有識者検討会は一五年六月に設置された。検討会では有識者から調査方法の変更に否定的な意見が出たのに、厚労省の判断で調査方法を変更したことが明らかになっている。野党は首相官邸の意向が働いたと追及した。

 首相は一五年九月三日、中江氏から国会答弁のレクチャーの際に毎月勤労統計の調査方法の変更について説明を受けた。首相は「(一五年)六月に調査対象事業所の入れ替えの影響があった旨の説明を受けたが、六月以外のデータは特段の説明を受けておらず、私からはなんら指示をしていない」と強調した。首相は、「秘書官から報告を受けていないし、厚労省でそうした検討が行われたことも(統計不正の)問題が取り上げられるようになって初めて知った」と答弁した。 (清水俊介)

東京新聞
2019年2月18日 夕刊
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