毎月勤労統計の不正問題で大揺れの根本匠厚労相。一連の不正は誰の意図で始まり、何が目的だったのか――厚労省のお手盛り調査では分からないことだらけだが、トップの根本大臣の政治資金の使途も疑問符だらけだ。

 日刊ゲンダイは、根本大臣が代表を務める資金管理団体「匠フォーラム」の政治資金収支報告書(2013〜17年分)をチェック。私的な支払いを疑わせる記載が見つかった。

 匠フォーラムは17年の収支報告書には、5月13日付で群馬県高崎市のヤマダ電機に「シェーバー」購入で1万1664円を支出したと記されている。本人か職員が、地元福島・郡山市から遠く離れた高崎市で急きょ、ヒゲをそる必要に迫られたのか。

 同年9月6日には、議員会館裏手の酒屋「永田町天竹」に「酒代」として23万1567円支出。酒代は、他の年の収支報告書にも10万〜20万円単位で記載があり、“爆買い”状態だ。

 さらに、14年11月5日付で、赤坂のスナック「ポロラウンジ」に3万9000円を支出。13年3月1日には、「iPOT代」(記載ママ)として、有楽町のビックカメラに1万2800円を支払っている。

 これらの支出は全て交際費などに関わる「組織活動費」として処理されている。第三者との打ち合わせに、シェーバーや音楽プレーヤーのiPodを購入する必要があるのか。根本事務所に問い合わせたが、期限までに回答はなかった。政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。

「シェーバーやiPod、スナックへの支出は『政治活動』ではなく、本人や職員の『生活』に必要なものだったのではないか。酒代にしても、パーティーなどで振る舞ったというなら、常識的には『組織活動費』ではなく『パーティー開催事業費』で処理するものです。私的な支払いを政治資金で支出したのなら、政治団体には支払い義務はなく、政治資金規正法の『虚偽記載』に当たる可能性もあり得ます。根本事務所は説明責任を果たすべきです」

 自らの政治資金の使途も説明できない根本大臣が、統計不正の闇を解明できるとは思えない。

日刊ゲンダイ
2019/01/31
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/246503/