日本が官民一体で進めてきた「原発輸出」が事実上全滅したことで、国内原発メーカー3社は原発事業の見直しを迫られる。今後、3社による再編論が高まる可能性もある。

 原発をつくる日本のメーカーは、日立製作所、東芝、三菱重工業の3社がある。各社とも海外の原発にはタービンなどの機器を輸出してきたが、より大きなもうけを狙って海外で原発を丸ごとつくる構想が浮上。それが「原発輸出」と呼ばれるようになった。

 2011年の東京電力福島第一原発事故後、国内で原発の新増設が見込めなくなったことから、原発輸出の重要性は増していった。その実現が見通せなくなったことで、各社は戦略の見直しが必要になる。

 世界的な原発の需要減は今後も加速するとして、経営の効率化を目的に、3社の原発事業が統合に向かうとの見方も出ている。日立の東原敏昭社長は17日の記者会見で「人材確保なども含め、そういう話があれば議論したい」と語った。原発輸出を事実上断念し、巨額の損失を抱えるリスクが下がったことで、「統合交渉が活発化するきっかけになり得る」(メーカー幹部)との指摘もある。

 ただ、道のりは容易ではない。原発で使う核燃料事業の統合に向けた3社の交渉が16年に表面化したが、いまだに実現していない。

 背景にあるのは、手がける原子炉の型の違いだ。日立と東芝は沸騰水型、三菱重工は加圧水型を採用。「ずっとばらばらにやってきて作り方も違うのに、統合してどんな効果が出るか不透明」(三菱重工幹部)だという。

 日立と東芝は、納入先の東京電…

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朝日新聞
2019年1月18日5時22分
https://www.asahi.com/articles/ASM1K53M1M1KULFA01J.html