同性婚が認められないのは憲法で保障された婚姻の自由を侵害し、法の下の平等に違反するとして、東京や名古屋などの少なくとも十組の同性カップルが来年二月中旬、東京地裁など全国で国家賠償を求める集団訴訟を起こす。弁護団が二十八日、明らかにした。弁護団によると、同性婚の合憲性を正面から問う訴訟は初めて。法整備を怠った国の不作為などを問う方針。

 原告となる同性カップルは東京六組、名古屋一組、関西一組、北海道二組。

 政府は、憲法二四条の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」との規定から「同性婚の成立を認めることは想定されていない」としている。そして民法の「夫婦」は男である夫と女である妻を意味するとしており、戸籍上同性同士の婚姻届は受理されない。

 同性カップルは、遺産相続や所得税控除などで法律上の配偶者と同等の扱いが保障されていない。また、異性間の事実婚では認められる健康保険の扶養家族など、社会保険上も配偶者として扱われていない。

 海外ではLGBTなど性的少数者の権利保障の動きが広がり、現在二十カ国以上が同性婚を認めている。先進七カ国(G7)で、同性カップルの権利を保障する国レベルの法制度がないのは日本だけだ。弁護団の寺原真希子弁護士は「国内外の動きを受け、弁護士にも同性カップルから不利益を訴える声が寄せられている。訴訟を機に、同性婚を認める立法への動きも盛り上げていきたい」と話す。 (奥野斐)

東京新聞
2018年12月29日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018122902000126.html