太平洋戦争末期に大分県竹田市に墜落した旧日本軍の戦闘機「紫電改」の行方を、地元住民や戦争捕虜について調べている市民団体「POW研究会」の会員らが探している。今月行ったものを含め、これまで7回の捜索で同機の残骸とみられる部品など約50点が見つかった。

 地元では、同機は1945年5月5日、米軍の爆撃機B29に体当たり攻撃をして墜落したと伝わる。B29も墜落し、生き残って捕虜となった搭乗員9人のうち8人は、九州帝国大(現・九州大)で生きたまま解剖され死亡。「九大生体解剖事件」として、遠藤周作の小説「海と毒薬」のモデルにもなった。

 捜索には地元住民の小林正憲さん(69)も加わっている。母ハナ子さんは同機の墜落で死亡した紫電改の乗組員粕谷欣三さんの救護にかかわったという。

 ハナ子さんから初めて同機の話を聞いたのは1977年。双方の搭乗員を慰霊する「殉空之碑」建立のため土地を提供したことがきっかけだった。ハナ子さんは粕谷さんの遺体を拭いて清めたことなどを話し、「長生きできているのも粕谷さんのお陰。ありがたい」と口にしていたという。

 碑の建立後は粕谷さんの部隊の…

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朝日新聞
2018年12月15日10時4分
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