新たな在留資格を盛り込んだ「出入国管理法改正案」が閣議決定され、13日以降の臨時国会に提出される見通しとなった。政府の骨子案によれば、新たな在留資格は介護、農業、建設、外食など14の分野において、「相当程度の知識または経験」を有する外国人労働者に在留が最長5年の「特定技能1号」を付与。さらに、「熟練した技能」があると判断され「特定技能2号」と認められると、在留期限無制限で家族の帯同も認めることになる。
 労働法の専門家の間では、単純労働者の受け入れを原則禁じてきた従来方針からの抜本的転換とみられているが、課題山積の法案に成立を危ぶむ声も上がっている。

■労働力不足の現実

 国会議員の事務所にも、多くの企業から技能研修制度に関する問い合わせが増えているといい、改正案への注目度が大きいことがわかる。政府がこの改正案の提出を急いだのは、国内の多くの業界が深刻な人手不足に悩まされているからだ。みずほ総研によれば、2016年に6,648万人だった日本の労働力人口は、2030年には5,880万人になると予測されており、単純計算で768万人の労働力減少が起きることになる。

 一方、労働者にすれば人手不足というのは悪い話ばかりではない。労働力の希少性が高まることによって給料が上がるという現実があるからだ。よく、「外国人留学生に頼らないと成り立たない」という経営者の悲痛な叫びを耳にする。「人手不足で企業がバタバタと倒れていくぞ」という人もいるが、それは低賃金労働を前提としているのであって、そもそも、そんな低賃金の業種には誰も集まらない。いくら探し回っても、安くこき使える労働者が確保できないので、実習生や留学生を拡充しようとするもくろみが透けて見える。若者の数が減るなか、安い賃金で働く有能な外国人労働者が増えれば、日本の若い労働者はいま以上に苦境に陥る可能性が高くなるという懸念もある。

2につづく

ニュースサイトHUNTER
2018年11月12日 08:00
http://hunter-investigate.jp/news/2018/11/-14512-2016664820305880768.html