■石破氏、「応援なら大臣辞めろ」はパワハラ

 自民党石破派の斎藤健農相が、総裁選で安倍晋三首相(63)を応援する議員から辞表を書くよう圧力をかけられたとされる問題が尾を引いている。石破茂元幹事長(61)は18日、広島県尾道市の街頭で「斎藤さんはうそをつく人ではない。『石破を応援するんだったら大臣をやめろ』。いつからそんな自民党になっちゃったのか」と訴えた。

 当の斎藤氏はこれに先立つ記者会見で「私が既に申し上げたことに尽きている。付け加えたり解釈したりすることはない」と述べるにとどめた。だが石破氏は続く同県福山市での演説でさらにボルテージを上げた。

 やり玉に挙げたのは首相の17日夜のテレビ朝日の番組での「(斎藤氏に)名前を言ってもらいたい」との発言だった。首相は激戦となった過去の総裁選に触れながら「こういう話はよくある」とも語った。これに対し、石破氏は「わが自民党の中で圧力とかパワハラとかが『よくあることだ』では済まされない」と声を荒らげた。

 野党からも「恐怖政治。自由民主党から自由がなくなっている」(国民民主党の玉木雄一郎代表)などの声が上がり、優勢が伝えられている安倍陣営に焦りの色が見える。安倍陣営の秘書は「党員から脅すなと言われ、大変だ」と困惑気味に語った。18日に首相の演説を聞いた長野市の元自営業の男性(68)は「安倍陣営も石破陣営もどっちもどっちだ」と突き放した。

 防戦に回った首相は長野市の演説で「この機会に自ら省みて謙虚に丁寧に政権運営に当たりたい」と低姿勢ぶりを強調した。

毎日新聞
2018年9月18日 20時31分
https://mainichi.jp/articles/20180919/k00/00m/010/078000c