20日投開票の自民党総裁選で“劣勢”が伝えられる石破茂元幹事長だが、ここにきて形勢逆転の「ウルトラC」案が浮上しているという。ズバリ、党筆頭副幹事長である小泉進次郎衆院議員の「官房副長官」起用案である。

 進次郎氏は、14日行われる党青年局主催の公開討論会後、総裁選に対する自らの考えを表明すると報じられているが、安倍陣営からは「やっぱり安倍支持みたいだね」なんて声が漏れ始めた。理由は簡単だ。13日告示された沖縄県知事選(30日投開票)で、進次郎氏は16日にも現地入りし、佐喜真淳前宜野湾市長の応援演説に立つ――とされているからだ。佐喜真氏は安倍政権が全面支援する候補だから、佐喜真応援=安倍支持ということらしい。だが、話はそう簡単じゃない。

 進次郎氏は安倍陣営の出陣式が党本部で行われた際、誤って受付に名刺を提出。後で候補者の所見発表会と勘違いしたとして、秘書が名刺を回収した。勘違いで名刺を出したのなら、「すみません、間違えました」と伝えればいいだけ。わざわざ秘書に回収させたのだから、暗に「安倍支持ではない」と表明したのも同然だ。つまり、すでに進次郎氏のハラは「石破支持」で固まっていると言っていい。

「石破さんはモリカケ問題について、『解明に専念できる特別委員会を国会に設置するのもひとつの考え方』と公言している。進次郎さんも国会改革の一環として、モリカケ問題の疑惑解明に向けた特別調査会を設置すべきと、石破さんと同じ発言をしている。双方でやりとりしているのは間違いないでしょう」(永田町関係者)

 進次郎氏が石破支持を表明すれば、「安倍支持の議員のうち、少なくとも10人程度は石破支持に回る」(永田町関係者)とみられている。さらに石破氏が国民向けのアピールとして進次郎氏の「官房副長官起用」を打ち出せば、どう転ぶか分からない。進次郎氏の父・純一郎元首相が第1次政権発足時の2001年、安倍首相を官房副長官に起用した手法と同じだ。

「挑戦者である石破氏が進次郎氏を巻き込み、『官房副長官に』というのは勝つための選択肢のひとつ。今からでも、2人で街頭に立つ姿を国民にアピールすれば、いい勝負になると思います」(政治評論家の山口朝雄氏)

 進次郎氏は今こそ、ここで勝負に出る時だ。

日刊ゲンダイ
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