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 自民党総裁選(9月7日告示−20日投開票)は、国会議員票と同数の405ある党員・党友票の行方に注目が集まっている。連続3選を狙う安倍晋三首相(63)は政権を盤石にするため圧勝を狙い、石破茂元幹事長(61)は「ポスト安倍」の芽を残すためにも首相を上回りたい。裏を返せば、党員票の多寡が両者の政治生命を左右しかねないともいえる。両陣営が見据える勝敗ラインとは−。

■徹底的につぶす

 自民党は21日、総裁選挙管理委員会の会合を開き、総裁選の日程や投票の仕組みを決めた。総裁選は国会議員票405と党員票405の計810票を争い、過半数を獲得すれば当選する。直近で複数候補が争った平成24年総裁選との大きな違いは党員票の扱いだ。

 24年の総裁選後に総裁公選規定が改正され、300に固定されていた党員票は国会議員票と同数となり重みが増した。集計方法も変わった。従来は党員票を都道府県連ごとに集計し、各地の党員数に応じ事前に割り振った票数をドント方式で配分していたが、現行は都道府県連ごとに集計した数字を党本部に伝え、全国で足し合わせた得票数をドントで配分する。地域の偏りが出にくく、「死に票」がなくなる利点がある。

 投票権も公選規定の「2年間党費を払った20歳以上」を、特例として「29年の党費を納めた党員」とし、結果として18歳以上に広げた。二階俊博幹事長(79)の号令のもとで増えている党員に配慮した。

 政府高官は首相が目指す党員票数について「国会議員票と同じ割合で取りたい。24年総裁選で首相は当初、メディアに『泡沫(ほうまつ)』といわれ党員票対策はできなかった。今回は違う」と周辺に話す。

 首相は7派閥のうち5派閥と、菅義偉官房長官(69)に近い無派閥議員らの支持を得て7割超の320票近くを固めている。国会議員票と党員票の得票率の差が大きいほど、来年の参院選を見据え野党が「自民党議員は民意とかけ離れている」との批判を浴びせるのは確実で、党員票でも国会議員票に迫りたいのだ。

 別の首相周辺は「新人や元職の争いと、現職と新人の争いは全く違う。後者は現職に対する反乱であり権力闘争だ。石破氏を徹底的につぶすためにも圧勝する必要がある」と語る。現状は首相の連続4選はできない。政権の終わりが見えることで求心力が下がる「死に体」を避けるためにも完勝が求められており、着々と策を繰り出している。

 首相自身が党員票の掘り起こしに熱心だ。首相公邸などで地方議員と積極的に会食や面会をし、自ら地方に出向くこともいとわない。業界団体との関係強化にも取り組み、日本農業新聞のインタビューに応じたり、日本医師会や日本歯科医師連盟、日本薬剤師会のトップと面会し、機関誌に掲載されたりしている。

 首相を支持する5派閥は都道府県ごとに責任者を決めて党員票の確保を目指し、政策ビラなどを組織的に配る準備を進めている。

(略)