自民党の石破茂元幹事長は、実は「隠れ護憲派」ではないのか−。総裁選で一騎打ちとなる見通しの安倍晋三首相(党総裁)が、秋の臨時国会に党の憲法改正案提出を目指す方針を示したことに反対し、9条改正に後ろ向きに感じる言動を繰り返しているのだ。安全保障関連の国会論議で、「もっと議論しろ!」などと大騒ぎして反対していた、左派野党やメディアの姿勢にも似ている。

 「ありっこない。あり得ない」

 石破氏は16日、BS日テレ番組「深層NEWS」の収録でこう述べ、9条への自衛隊明記を盛り込む党の改憲案を秋の臨時国会に提出することに反対した。

 石破氏は、9条をめぐる党内議論が尽くされていないことを理由に、「共産党まで含め、1つでも多くの党の賛同を得られるものからやるべきだ。9条は国民の理解なくして、改正することがあってはいかん」と強調した。

 そのうえで、優先すべき改正項目として、「参院選の『合区』解消」や「緊急事態条項の新設」を挙げた。

 番組後は、安倍首相の改憲案提出方針について、記者団に「先にスケジュールありきで、民主主義の現場を理解していないとしか思えない」などと痛烈に批判した。

 憲法改正に反対する左派メディアは、この石破発言を大きく報じた。

 「国民の理解」を得ることは確かに必要だ。ただ、日本の独立と国民の安全を守るため、日々訓練と任務に励む自衛隊が、「違憲」状態のままでいいというのか。

 そもそも、共産党は、党綱領に「自衛隊の解消」「日米安保条約の廃棄」を掲げる革命政党である。「9条改正」に理解・賛同する可能性がないことは石破氏なら理解しているはずだ。

 石破氏は「9条2項を破棄して国防軍創設」を訴えているが、これも世論の動向を考えれば、実現性は極めて低い。

 「議論が足りない」「スケジュールありき」という主張も、結党以来、改憲を党是としている自民党議員として、どうなのか。

 総裁選では、国会議員票(405票)の8割弱を安倍首相が固め、地方の党員票の動向に焦点が移っている。

 共同通信が、全国の党都道府県連幹事長ら47人を対象にしたアンケート結果(16日公表)によると、次期総裁に石破氏がふさわしいとしたのは3人にとどまるという。石破氏の支持は、地方でも広がっていないようだ。

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