◆シエラレオネの子供たちの性に迫った詩織さん

もう1つ、これも長尺になるが、ウェブサイト上に保存されているのが、TBSラジオで荻上チキさんが聞き手となる番組に伊藤さんがゲストとして出演した際の音声だ。

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▽【音声配信】世界で最も寿命が短い国の1つ『シエラレオネ』〜ジャーナリスト伊藤詩織さんの現地取材報告▼2018年6月20日(水)(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)
https://www.tbsradio.jp/263979

 この中で、伊藤さんはアフリカ西部にあるシエラレオネを訪ねた際の報告をしている。

 シエラレオネ(元英国の植民地。首都フリータウン)は「世界で最も寿命が短い国の1つ」だそうだ(2014年時で46歳)。

 伊藤さんは将来、ドキュメンタリーを制作する際の調査の一環としてシエラレオネを訪れた。番組の前半はシエラレオネはどんな国かという話になるが、20分を過ぎたころから、現地の音声を紹介しながらのレポートになり、これが途中で止められないほど、迫力がある。

 例えば、9人の子供を産んだ女性へのインタビューである。彼女は7人の子供を亡くしている。なぜ亡くなったのかはわからない。貧しくて病院に行くことができなかった。理由が分からないままに5歳にならないうちに命を落とした。

 残った2人の子供のうち、1人は3歳。母はこの子を引き取ってくれる人を探している。小さな子供をまた失ってしまうことに、もう耐えられなくなったからだ。

 伊藤さんはレイプ被害者を助けるセンターを訪問し、その大半が18歳以下の女性であることを知る。レイプされたら、その後、少女たちはどうなるのか?

 シエラレオネは「女性器切除、Female Genital Mutilation=FGM」が行われてきた国の1つでもある。成人儀礼として、女性器の一部を切除あるいは切開する習慣がある。

 なぜこうした風習が続いているのか、その背景を伊藤さんは説明する。5歳で女性器切除を受けた少女がその悔しさを吐露する。妹(父親は別)は切除をしなくて済んだことで、その悔しさは倍増する。

 番組は最後、希望を示すエピソードで終わるけれども、それまでの厳しい状況下に生きる人々の声が耳に残る。

 自分の身に起きたことを実名・顔出しで公表した伊藤さん。彼女のジャーナリズムがどんなものなのか、ぜひ自分の目や耳で確かめてみてほしい。

終わり