わし、この間おもしろいことに気づいたねん。アラビア半島と日本列島と比べてみてな。アラビア半島は日本列島より、ずっと広いけど延々、平らな砂漠やわな。見た目と表面積と、そんな変わらへん。
ところが日本列島いうのは細かい起伏が多うて、高い山もそびえて、上からただ見下ろすより、はるかに広い表面積持ってるのとちがうか。
言わば、くちゃくちゃに丸めた紙を見てるようなもので、しわしわの起伏があるけど、小さく見えても紙を広げたら、見る間に大きくなるわな。
あれと同じで、もし日本列島の起伏を上からぺちゃんこに押さえて平らに延ばしたら、今の何倍の表面積になるやろ。いっぺん、誰かに計算してもらいたいな。
…そうすると、本当の領土の広さがわかるねんで。
てくてくトンネル使わずに歩いた時の実感面積やな。意外と、広いんちゃうか。

わしの言いたいのはな、日本て狭う見えたるけど、本当は表面積広うて、そやさかいこんだけ沢山の人が住めるんちゃうか。しかも気候や地形が変化に富んでて、それに対する様々な能力が、住んでる人に勝手に身につくわな。
日本にいるだけで、山や川や海がある、湖や砂漠や温泉やシラス大地や密林や島があり、雪や梅雨を体験できる。山をひとつ越えただけで景色がガラッと変わる。方言や風習も変わる。一年中冒険探検してるようなもんや。
自然好奇心も強くなり、サバイバル能力も広がる。
海岸線も入り組んで、延長するとものすごう、長うなるらしいな。
そんなで、我々日本人は稀有な、小さいくせにコンパクトでダイナミックな変化に富んだ、ほんまは「広い」国土に住んでるわけや。
そやし、心が多様性を寛容に受け入れ、豊かな感受性を持って醸成されるねんで。