第一部では、勉氏が池田勇人元総理、宮沢喜一元総理ら政界の要人とのコネクションを重視していたことを記した。
孝太郎氏と安倍総理の付き合いもまた、総理が自ら語っている通り、公私にわたる長く深いものだ。

もちろん勉氏にしろ孝太郎氏にしろ、宮澤氏や安倍総理と初めて知り合った時から、「この人は将来、総理大臣になる」と確信していたはずもないだろう。
孝太郎氏は父・勉氏の「人を見る眼」を受け継いだのかもしれない。

現在、加計学園の運営する学校には約2万人の学生・生徒・児童が通い、1000人を超える教職員が働いている。
「大企業」ともいえる規模の私立学校法人の円滑な運営に、政界や行政との連携が欠かせないことそれ自体は、致し方ないことだろう。
その一方で、加計学園が半世紀以上にわたって展開してきた数々の教育事業には、すでに決して少なくない額の税金が費やされている。

今回の「加計学園問題」はわれわれ国民に、「政治とは、教育とは、いったい誰のためにあるのか」という根本的な問いを投げかけている。
                                   (了)

参考文献:鶴蒔靖夫『加計学園グループの挑戦』IN通信社、2011年
『加計学園創立二十周年記念誌』加計学園、1985年
『広島加計学園創立十周年記念誌』加計学園、1990年
『加計学園創立30周年記念誌』加計学園、1992年
    『加計学園創立50周年記念誌』加計学園、2012年