「モリ・カケ」で揺れる終盤国会で、公明党が独自色を発揮してきた。

「政治家としてどう責任を取るかということが一つの課題になってくる」

 5月25日の記者会見で麻生太郎財務相の責任論に言及したのは、公明党の井上義久幹事長だ。中央幹事会会長の北側一雄氏も責任論に触れており、「麻生辞任」が党幹部の共通認識になっている。

「山口那津男代表も周辺に『麻生さんは決断すべき、辞めるだろう』と漏らしています」(公明党関係者)

 もともと公明党の支持母体である創価学会は、この手の疑惑には敏感で潔癖だ。

「自民党のブレーキ役になることで、安倍政権のデタラメぶりにストップをかけたいが、政権交代は望まない無党派層にアピールしたい。党幹部に物申す姿勢がなければ、組織は持たない」(同前)

 森友問題の舞台が、公明党の金城湯池である大阪との事情も見逃せない。「選挙は1年前から準備する」(同前)セオリーからいえば、もう来年4月の統一地方選は待ったなしでもある。

 カジノ法案も同じ理由だ。

一昨年のカジノ解禁法の採決では、山口代表が反対するなど、公明党は全体として慎重な姿勢をとってきた。それがここに来て「ぜひ今国会で成立を」と推進論に転換。創価学会にパイプがあるとされる朝日新聞から社説で「一貫性のなさが際立つ」「自党本位の理屈でしかない」と批判されるほどだ。

 ここでも影響するのは「選挙1年前」理論。公明党幹部は「今国会でやれば、地方選まで1年近い間が空き、支持者の記憶も薄れる。秋の臨時国会だと半年しかない。この差は大きい」と打ち明ける。

「大阪」もカジノ法案に微妙に影響している。カジノ法案は日本維新の会が推進し、大阪も候補地になっている。公明と維新は大阪ではうまく棲み分けを図っている。カジノ法案を成立させれば、安倍政権にも、維新にも恩を売れる効果が期待できるのだ。

「6月10日投票の新潟県知事選では、自民党県連幹部が公明党の支援を断り、選挙を仕切る佐藤浩創価学会副会長を激怒させたと言われる。菅義偉官房長官が間に入り、支持することでまとまりました」(自民党幹部)

 衰えが見える公明党・創価学会の集票力。来年の選挙に向け、低落傾向に歯止めをかけたい山口公明党の動きが政局を左右しそうだ。

週刊文春
http://bunshun.jp/articles/-/7591