◆新証拠で大ウソ確定 安倍首相は獣医学部計画を知っていた
2018年5月23日 日刊ゲンダイ

「首相案件」はもはや揺るぎようがない。メガトン級の決定的証拠が出てきた。加計学園問題をめぐり、中村時広愛媛県知事が21日、安倍首相が3年前に加計孝太郎理事長と面会した際、獣医学部新設についてやりとりしたことを示す新たな公文書を国会に提出したのだ。

 内容はまさに驚天動地。加計獣医学部計画について「知ったのは2017年1月20日」という安倍首相の国会答弁がウソ八百だったのは明々白々だ。

 愛媛県が国会に提出した27ページにわたる公文書を日刊ゲンダイも入手。文書には、加計学園から県への報告内容が記されている。

 15年3月の報告書には、同月3日、学園からの報告として〈2/25に理事長が首相と面談(15分程度)〉とあり、加計理事長が獣医学部について安倍首相に説明したと書いてある。安倍首相の主張する計画を知った時期より2年も前に、直接、加計理事長から計画を聞いていたのである。そのうえ、〈首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね。」とのコメントあり〉と、安倍首相が前向きなリアクションを示したことまで明記されていた。

 その続きには〈柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があった〉とも書かれていた。柳瀬唯夫元首相秘書官は10日の予算委参考人質疑で、15年4月2日に学園関係者と面会したことを認め、「アポイントがあればなるべく会うようにしていた」などと取り繕っていたが、自ら積極的に学園側に資料を出すよう求めていたのだ。

 一方、加計側も獣医学部新設に向け、相当焦っていたらしい。当時、新潟市が獣医学部新設に積極的だったことや、〈下村博文文科大臣が一歩引いたスタンス〉であることを不安視し、愛媛県にも官邸へ働きかけることを要請している。とりわけ、当時の認可権者である下村文科相が学部新設に後ろ向きな姿勢を示していることに危機感をにじませていたようだ。

 そこで焦った加計は、内閣府との面会アポも積極的に取り付けていた。15年3月の〈獣医師養成系大学の設置に係る内閣府及び首相秘書官訪問について〉と題された報告書には、〈学園から内閣府の藤原次長との相談日程が4月2日11時30分に調整できた〉〈学園としては柳瀬首相秘書官に4月2日午後3時から説明したい〉と記されていたのだ。

■「贈収賄」疑惑に発展も

 この愛媛県の公文書を読む限り、柳瀬氏がウソをつき続けていたのは、安倍首相の虚偽答弁を取り繕うことだけが目的ではなかったのだろう。国家戦略特区諮問会議の議長である安倍首相に“利害関係者”である加計理事長が飲食代やゴルフ代を供応した疑いまで浮上し、ヘタをすれば安倍首相が「贈収賄」に問われる可能性があるからだ。

 首相動静によると、第2次安倍政権発足の翌13年以降、安倍首相はたびたび加計理事長と会食。15年2月25日の「いいね」以前に4回、都内高級店で一緒に飯を食い、以降も計7回会食している。ゴルフは計4回だ。安倍首相は会食費やゴルフ代について「先方が払うこともある」と答弁していて、加計獣医学部新設計画を知った上で「ゴチ」されていたのであれば大問題だ。

「今回明らかになった愛媛文書は、安倍首相が学園の構想を知っていたことを裏付ける内容です。仮に飲食代、ゴルフ代を払ってもらっていれば、安倍首相は職務権限者としての責任を問われることになる。贈収賄や受託収賄事件に発展する可能性も考えられます。愛媛県知事はもちろん、加計理事長以下、学園関係者も国会に招致し、真相を明らかにすべきです」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)

 加計学園は、「理事長が15年2月に総理とお会いしたことはございません」とコメント。安倍首相も加計理事長との面会を否定した。では、愛媛県がこれだけの詳細な記録を“捏造”したというのか。加計理事長の証人喚問は必須だ。

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