船出の日にケチをつけたくないのだが――。民進党と希望の党が7日、新党「国民民主党」の結党大会を都内のホテルで開いた。両党の国会議員は計107人いるが、新党には衆参で62人が参加した。規模縮小も、“改憲勢力”が一掃され、立憲民主や共産などとの「野党共闘」にはプラスと思いきや、両代表が野党共闘に水を差すような発言。大ひんしゅくを買っている。

「民進の岡田克也元代表や小川敏夫参院議員会長の不参加は痛かったですが、希望の細野豪志さん、長島昭久さん、中山恭子さんなど、バリバリの改憲派が新党に加わらなかった。憲法や安保法制で野党共闘がやりやすくなると期待していました。両代表の発言にはガッカリです」(市民団体関係者)

 希望の玉木雄一郎代表は3日のネット番組で「新しい党ができたら原則、審議拒否しない」と発言。希望と民進を含む野党6党は、麻生財務相の辞任や柳瀬元首相秘書官の証人喚問などを求めて、先月20日から審議拒否を継続中だ。与党の譲歩を引き出そうとしている真っ最中に、戦術そのものを一蹴するとは一体、どういう神経なのか。喜ぶのは与党の連中だけだ。

続いて、民進の大塚耕平代表は5日のネット番組で、共産党に「選挙の時にはやはり多少気を使っていただかないと、政権交代は起きない」と注文をつけた。2016年の参院選1人区で民進が7議席も取れたのは、すべて共産が候補者を下げてくれたおかげなのに、だ。

 映画作家の想田和弘氏は<喧嘩売ってるように聞こえる。相手に気を遣って欲しいなら、自分たちも多少は気を遣わないと無理だと思いますよ。それとも共闘したくないってことかな?>とツイートした。

 さらに大塚代表は、安倍政権の悪事をアシストしてきた公明に対して「一番考え方が近いと言えば近い。与党の一角ではあるが、よく話し合いはしていきたい」と秋波を送る始末だ。政治評論家の山口朝雄氏が言う。

「現在の政治状況において野党の役割は、一刻も早く安倍悪政を終わらせることです。そのためには小異を捨て、全力で野党共闘を進めるしかない。両代表の発言は、これまで築き上げた野党間の信頼関係を損ないかねません。与党にすり寄る新党なら国民の大きな支持は得られないでしょう」

 新党はどんな舵取りを見せてくれるのか。

日刊ゲンダイ
2018.05.07
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