「記録が官邸には全部残っているんですね」――。

 加計学園の獣医学部新設を巡り、2015年4月2日に官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と愛媛県や今治市職員らが面談した際、「首相案件」と語ったとされる文書が見つかった問題。柳瀬氏は「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」などとシラを切り続けているが、官邸の入邸・面談記録を見れば事実関係は一発でわかる。内閣府担当者は「記録は廃棄した」などとはぐらかしているが、かつて安倍首相自身が、官邸の厳重な記録保存の体制を自慢していた。

 17日の参院農水委。民進党の桜井充議員が「2015年4月2日」の官邸の面談記録に関する質問で、安倍首相が14年3月21日にフジテレビ系の「笑っていいとも!」に出演していた際の発言を取り上げた。当時、安倍首相と司会のタモリの間で交わされた発言内容は、ざっとこんな通りだ。

〈現役の総理がバラエティーに出るのは、おそらく初めてじゃないかと思います〉(タモリ)

〈国民的番組ですからね。5000回の時に小泉総理がね。あの時、私、官房副長官をやっていまして。当時の小泉総理が『官邸に来ませんか?』と誘ったんですよね。そういう記録が官邸には全部残っているんですね〉(安倍首相)

 ちなみに小泉元首相が電話で番組出演したのは03年1月15日。生放送中に秘書官を通じてタモリとやりとりしたのだ。

 安倍首相が胸を張った通り、10年以上前の記録も「官邸には全部残っている」のであれば、たかが3年前の記録が残っていないはずがない。桜井議員が「廃棄した」と言い続ける内閣府職員に「バラエティー(番組で)のやりとりは残っているのに、なぜ、面談記録がなくなるのか」と怒りをあらわにしたのも当然だ。

「森友問題で『破棄した』と説明されていた公文書が後で見つかったように、面談記録も残していると考えるのが自然です。それに官邸の入邸者はすべて映像に録画し、セキュリティー室で管理、保存しているといわれている。残っていないなんて到底、信じられません」(野党議員)

「即アウト」の面談記録が見つかるのも時間の問題だ。

日刊ゲンダイ
2018年4月20日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/227497