https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180417-00000004-sasahi-pol

 2015年4月2日、愛媛県や今治市の職員らが首相官邸を訪れた際、面会したのが柳瀬唯夫首相秘書官(当時)だったことをスクープしたのは本誌だ(17年7月23日オンライン)。

 その柳瀬氏が面会時に「本件は、首相案件」と発言したと、愛媛県職員が備忘録に記録していたことがわかり、疑惑が再燃した。

 柳瀬氏の「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」という苦しいコメントに対し、安倍首相は「元上司として信頼する」と言い切った。ところが、愛媛県職員の訪問先の一つだった農林水産省でも同じ文書が見つかり、また綻びが出た。

 与党は16日、野党に対し、23日に衆参両院で予算委員会を開き、柳瀬氏らを参考人招致することを提案したが、野党は虚偽の証言をすれば罪に問われる証人喚問でなければならないとして拒否している。

 森友・加計問題を追及してきた森ゆうこ参院議員(自由)はこう指摘する。

「今治市では首相官邸への訪問記録を、公文書として残しています。情報開示請求で出てきた記録は黒塗りされているが、それを外せば、今回の愛媛県の備忘録と一致するはず。言い逃れは、もはや通用しません」

「首相案件」という言葉は他の文書にも残されているというのだ。

「県と市の間の連絡メモでも首相案件と似た文言があります。今治市は『さすが加計さんや』と大喜びだった」(愛媛県関係者)

 国会で嘘の上塗りを演じ、疑惑隠しのための密談まで浮かび上がってきた。

 森友学園への国有地の払い下げについて安倍首相が「総理大臣も国会議員も辞める」と答弁したのは昨年2月17日。その5日後の22日、菅義偉官房長官が当時の佐川宣寿理財局長、中村稔理財局総務課長らを招集していた。理財局が口裏合わせを森友側に持ちかけ、失敗したのは2月20日。しかも現在、国会で答弁に立っている太田充理財局長も当時、総括審議官として同席していたのである。文書改ざんも含めた“善後策”を謀議した可能性を疑われても仕方がないだろう。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏がこう話す。

「わざわざ官邸から議員会館の菅事務所まで場所を移しているのだから、よほどの重要会議だったのでしょう。太田氏も会議に参加していたことを白状しましたが、担当責任者として疑惑のプロセスを全部知っていながらとぼけた答弁をしていた。中村総務課長にしても、決裁文書を読まずにハンコを押したなどと公然と言う。もはや、この国の民主主義の根幹が揺らいでいるというほかありません」
一方、財務省の福田淳一事務次官が女性記者にセクハラ発言したと週刊新潮が報じた問題で財務省は16日、調査結果を発表。

 福田氏は事実関係を否定し、辞任しない意向で「週刊誌報道は事実と異なるものであり、名誉毀損にあたる」として、新潮社を提訴する準備を進めていることも表明。一方、週刊新潮編集部は、「週刊新潮の見解は、19日発売の次号に掲載する」と各メディアに発表。自民党では福田氏の更迭による早期の事態収拾を求める声が高まっていただけに、問題の泥沼化が懸念されている。

「問題が泥沼化し、森友疑惑で決裁文書の改ざんが報じられたときのようにボロボロと後で事実が出てくれば、最悪だ」(自民党関係者)

 などと財務省の対応を不安視する声も出ている。(本誌取材班)

※週刊朝日2018年4月27日号より加筆