毎日新聞 2018年4月5日 11時05分(最終更新 4月5日 11時37分)
https://mainichi.jp/articles/20180405/k00/00e/040/244000c


 防衛省が国会で「不存在」と説明していた陸上自衛隊のイラク派遣時の日報が見つかった問題で、
昨年3月末に陸自研究本部教訓課(現在の教育訓練研究本部教訓評価室)で発見された日報の存在を、
同本部の少なくとも数人が把握していたことが同省への取材で判明した。今年1月に陸上幕僚監部に
報告されるまで日報の存在が一部の隊員の間だけで隠蔽(いんぺい)されていた可能性があり、
同省の調査チームが経緯を調べている。

 防衛省によると、イラクの日報の存在が公表された今月2日の夜から陸自が教育訓練研究本部内で
当時の関係者の聞き取りを始め、3日夕までに当時の教訓課長で現在の教訓評価室長を含む数人が
昨年3月の発見以降、日報の存在を知っていたことを把握したという。調査チームは他に報告を受けた人が
いなかったかどうかも調べている。

 教訓課は昨年3月10日の段階で防衛省の調査に対し、イラクの日報を「保管していない」と答えていた。
その後、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題を巡る特別防衛監察が始まり、同PKO派遣部隊の日報を
捜していた同27日に、教訓課の外付けハードディスク内でイラク派遣時の日報が見つかった。
ただ、この情報は当時の稲田朋美防衛相らには報告されず、一部だけで伏せられていたとみられる。

 陸幕は昨年11月、南スーダンPKO日報問題の再発防止策の一環として、過去の海外派遣部隊が作成した
日報の保管状況を調べるよう全部隊に指示。研究本部は今年1月12日にイラクの日報の存在を陸幕に報告した。
ただ、その後の防衛省の調査に対し、同本部は日報の発見日を「確認中」としか答えていなかったという。
【前谷宏】