毎日新聞 2018年4月4日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20180404/ddm/003/010/045000c

 防衛省が国会で「不存在」と説明していた陸上自衛隊のイラク派遣部隊の日報が見つかった。
情報公開請求に対して、本来開示すべき文書を開示していなかった問題も発覚。南スーダン国連平和維持活動
(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)問題に続き、防衛省・自衛隊は文書管理を巡る意識の甘さを露呈した。
文書が見つかり開示されるに至った経緯を振り返り、いまだ説明されていない疑問に迫った。
【秋山信一、前谷宏】


調査中に稲田氏断定

 3月31日朝の防衛省。土曜日にもかかわらず11階の大臣室に、小野寺五典防衛相や同省幹部が集まった。
出席者には、イラク派遣部隊の日報が見つかった経緯をまとめた2枚の文書と日報のサンプルが配られた。

 「なぜ、昨年の(陸自の)調査で見つからなかったのか」。小野寺氏が追及しても幹部からは
明確な回答はなかった。「週明けには首相官邸に報告し、公表する。詳細を早く調べるように」と指示があり、
緊急会議は終了した。

 イラク派遣時の日報は昨年2月、南スーダンPKOの日報問題で国会が紛糾する中で野党が取り上げた。
2月16日の資料要求に対して、防衛省は統合、陸上、航空の3幕僚監部の部隊運用担当課を調査し
「不存在」と回答。17日に野党議員から衆院予算委員会での質問の通告があり、調査対象を
陸上自衛隊研究本部(現・教育訓練研究本部)などに広げたが確認できなかった。当時の稲田朋美防衛相は
20日の同委員会で「残っていないことを確認した」と断言した。

 だが、実際には防衛省内の調査は3月10日まで続いていた。最終的に文書は確認されなかったが、
政府関係者は「稲田氏の答弁は踏み込み過ぎだ。『存否を確認できなかった』と答えるべきだった」と振り返る。

 当時、国会では「廃棄した」とされていた南スーダンPKOの日報が見つかり、PKO参加5原則に抵触する
「戦闘」との記述を隠すためだと野党側が追及していた。イラク派遣でも自衛隊の活動地域が「戦闘地域」に
該当するかどうかが論点になった経緯がある。仮にイラクの日報に「戦闘」との文言があれば、
野党が勢いづくのは必至だった。希望の党の泉健太国対委員長は3日の記者会見で「国会審議中の発覚をおそれ、
隠蔽につながったのならば言語道断だ」と指摘した。


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