https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180329-00165157-diamond-soci

● 40回以上も証言を拒否した 佐川氏の腰砕け証人喚問

 テレビの前で、「人間とは、土壇場になると、ここまで保身に走れるものなのか」と、呆然とした人が多かったのではないか──。

 3月27日、財務省が学校法人森友学園との国有地取引に関する公文書を改ざんした問題で、前国税庁長官の佐川宣寿氏が衆参両院の予算委員会で証人喚問に立った。佐川氏は、財務省理財局主導で改ざんが行われたとされる昨年2月下旬から4月にかけて、理財局長として国会の答弁に立っていた。

 その後、近畿財務局の職員の自殺をきっかけに、財務省が決裁文書の調書で14ヵ所にのぼる改ざんを行っていただけでなく、添付されていた2枚の資料を削除していたことが発覚したのは、もはや周知の事実だ。

 27日の証人喚問では、どこまで政治の関与があったのかが焦点だったし、国民もまた疑惑の解明を期待していた。というのも、安倍晋三首相が昨年2月の衆院予算委で「私や妻が国有地売却に関与していれば、首相も国会議員も辞める」と答弁していたためで、証言内容によっては、政局になる可能性もあったからだ。「安倍一強」と呼ばれる強すぎる政治と、官界との歪んだ関係が是正される機会であったこともある。

 しかし、多くの国民の期待は、「刑事訴追の恐れがある」という言い訳を盾に、40回以上も証言を拒否した佐川氏の腰砕けな姿勢の前にもろくも崩れた。佐川氏に対して、橋本内閣時の総理秘書官だった江田憲司議員(民進党)は、「(そのスタイルは)あなたの美学か」と問うた。

● 「総理夫人、官邸の関与はなかったとの 証言が得られた」と豪語する丸川議員

 そんな佐川氏が饒舌に語ったのは、参議院で質問のトップバッターに立った丸川珠代議員(自民党)の質問に対してのみだったからだ。丸川氏の質問は、終始一貫して、「責任は財務省理財局のみにあり、総理、総理夫人、官房長官、官房副長官、総理秘書官は関係ない」ということを念押しする内容だったからだ。いくつか、抜粋する。

 丸川氏 「官邸からの指示はなかった?」
佐川氏 (はきはきと)「間違いありません。麻生大臣からの指示もございませんでした。理財局の中でやった話です」
丸川氏 「(総理や総理夫人からの)明確な指示ではなくても、圧力は感じた?」
佐川氏 「ありませんでした」
丸川氏 「なぜ書き換えを行って、総理夫人の名前を削除したのか?」
佐川氏 (前略)「一連の書類を勉強して、総理も総理夫人の影響もありませんでした」

 このように、「政治の関与を匂わせたら、どうなるか分かってるんでしょうね」と言わんばかりの、半ば「恐喝」とも受け取れる質問をネチネチと繰り返した後、丸川議員は晴れやかな顔で、「総理夫人、官邸の関与はなかったという証言が得られました。ありがとうございました」と言い放ったのだ。

 これには、自民党の議員からも驚愕した様子のコメントが出ていた。

(略)


参考
横田由美子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E7%94%B0%E7%94%B1%E7%BE%8E%E5%AD%90
>2017年9月、朝日新聞社が運営する言論サイト「WebRonza」の文化・エンタメジャンルの筆者に起用される[8]。