『ブラック企業勤務より10倍ヒドい「中国人技能実習生」の悲鳴』

■増える技能実習生の逃亡
外国人技能実習生制度の問題点は、ここで改めて述べるまでもないかもしれない。

私は近ごろこの問題を追いかけているが、「先進国・日本の優れた技術をアジアの若者に伝える国際貢献」という同制度のタテマエを本気で信じている人間は、当事者や関係者のなかにも誰もいないように見える。貝の殻剥きや弁当の箱詰めなど、技能習得とはほど遠い単純作業に従事する実習生も多い。

国外でのカネ稼ぎを求める途上国の若者と、経営難や人手不足を打開したい日本の第一次・第二次産業の現場。相手国内で手数料ビジネスを営むブローカーたちと、それに乗っかる日本国内の監理団体(実習生の斡旋・監理機関)。そして、定住的な移民の受け入れを回避しつつも、格安の単純労働力は確保しておきたい財界と日本政府……。
とまあ、さまざまな関係者の欲望が交錯するなかで合成の誤謬が生まれ、制度全体がどうしようもなく歪んでいるのが現在の外国人技能実習生制度だ。

高額の手数料を徴収するブローカー、監理責任を果たさない監理団体、虐待・セクハラ・労災放置・過重労働・給料未払いなどコンプライアンス違反が状態化した日本国内の雇用先中小企業など、どうしようもない関係者は少なくない。

近年、日本政府は制度の運用実態に対する社会的批判を受けて、実習生雇用先への法律遵守の呼びかけや、実習生宿舎の面積確保など待遇向上をうたう関連法規の改正を進めているが、いずれも弥縫策的で、問題の根本的な解決にはほど遠いのが現状だ。

ゆえに、技能実習生の失踪も急増しており、2017年には過去最高人数の6000人を突破する見込みである。近年は実習生全体の人数も、失踪人数もベトナム人がトップだが、まだまだ中国人も多くいる。

■給料は最低賃金で、仕事内容は3K
近年は減少傾向とはいえ、地方出身者で決して学歴が高くない中国人にとっては、現在でも日本の最低賃金のほうが中国国内の給料より多少は高く、実習生になる人が存在するのだ。ほか、最近は「日本アニメが好きだから」「『君の名は。』みたいな田舎で暮らしてみたいから」といったユルフワな理由で実習生になる若者も出はじめている(結果、日本が大嫌いになって帰国する人が続出するのだが)。

(以降ソースにて)
2018.03.24 現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54956