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総裁選なしの首班指名も

 田原 麻生(太郎)さんはいずれ辞任するでしょうが、ここまでくると、辞任しても問題はまったく収束しません。麻生辞任は、もはやカードにならないんです。

 角谷 改ざんに関して、麻生さんがどこまで、何を知っていたか、そしていつ知ったかが、一連の問題の核心の一つです。

 田原 麻生さんは「書き換えは理財局の一部の官僚がやった」と言いました。しかし書き換えられた元の文書には昭恵夫人の名前がある。安倍さんの国会での発言との整合性をとるために、文書を書き換えたんじゃないか。

 角谷 財務省は、総理を守るだけでなく、国会に提出する公文書の体裁を整え、さらには会計検査院への説明と辻褄を合わせねばならなかった。

 田原 森友学園の籠池前理事長夫妻はいまだに勾留中ですが、これは明らかな人権蹂躙だと思います。僕は籠池氏の逮捕前、あるテレビ番組で本人にインタビューしています。

 そこで、'15年10月に籠池氏が昭恵さんにかけた電話の内容について訊ねたのです。籠池氏は昭恵さんにこう言ったといいます。『仮払いのカネを早く返して欲しい。また、土地の売却値が高すぎるので、安くして欲しい』。

 昭恵さん付の秘書だった谷査恵子さんからは、2種類の回答ファックスが届きました。一つは〈現状では希望に沿うことはできない〉というものでしたが、もう一つに書かれていた文言がありました。

 〈平成27年度の予算での措置ができなかったため、平成28年度での予算措置を行う方向で調整中〉

 籠池氏はこのファックスについて、「満額回答だった。仮払金も返ってきたし、8億円も安くなった。安倍夫人のただならぬ尽力のおかげで、心から感謝しています」と証言しているんですよ。

 角谷 このファックスの件は、当時一部の議員しか注目しませんでしたが、重要なポイントです。

 田原 籠池さんは、釈放されたらこの事情を喋るでしょう。発言にそれなりのリアリティがあれば、昭恵さんの関与は明白になります。長期勾留が続いているのは、それを恐れてのことだと思います。

 角谷 籠池さんに今出てこられたら、政権にとっては困るんですね。

 田原 政権支持率は、これから下がる一方でしょう。自民党が国民の信頼を再び得るためにどうすればいいか、という声がだんだん大きくなる。

 そこで、ある人物の判断が重要になる。幹事長の二階(俊博)さんです。二階さんが「安倍内閣を守るよりも自民党を守る」と判断すれば、安倍さんは総辞職の可能性も出てくる。そうなると総裁選前倒しもあるでしょう。

 角谷 私もそう思います。ポイントは3月25日に開かれる党大会にあります。本来、この日に改憲草案を華々しく発表する予定でしたが、今はその状況にありません。改憲できないのならば、それが目標のすべてだった安倍さんの延命は無意味になります。

 安倍さんを延命させるか、信頼獲得のために改憲を捨てるか。安倍さんは二階さんに見捨てられれば、政界主流から退場することになる。

 田原 このままだと来年の参院選で自公が3分の2を取るのは無理です。

 角谷 安倍さんは、4月に予定しているトランプ大統領との会談までは総理を続けるつもりでしょうが、そこまでもたないかもしれない。もし国会会期中に内閣総辞職となれば、総裁選なしの首班指名も起こりえます。

 すでに竹下亘総務会長も二階さんも、さらにいえば小泉進次郎さんも「問題解明をしっかりしろ」と発言し、潮目が変わっています。

 ところがポスト安倍の筆頭・岸田さんは、様子を窺うあまり、発言には慎重なんですね。もし安倍さんが辞任する事態になれば、誰が総理になるでしょう? 
 田原 まったく可能性がないと言われてきた石破茂の総理就任が、十分ありうる展開になってきたと思う。進次郎が、どのくらい声を大にして石破支持を打ち出すかが決め手になるかもしれない。

 角谷 進次郎は、石破大臣の時の政務官で、今も関係がいいですからね。

石破総理、進次郎官房長官

 田原 二階さんが石破を推す可能性もあります。

(略)