2018年3月12日21時19分 
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「日本の政治史上あり得ないことが国会で起こった。国会を欺いたこの罪は本当に重い」

12日の参院予算委員会理事懇談会。改ざん文書の内容を報告した財務省の富山一成・理財局次長らに、共産党の辰巳孝太郎氏が詰め寄った。焦点となったのは、「誰が、いつ、改ざんを指示したのか」――。野党側理事たちの追及に、富山氏は「調査は継続中」と繰り返すだけだった。

 立憲民主党の蓮舫氏は懇談会終了後、記者団に「安倍内閣のウソがはっきりした。安倍首相の『丁寧な説明』というのは隠すことだった。肝心の誰の命令で改ざんしたのかは調査中で分からない。ここで終わりではない。ここからが始まりだ」と息巻いた。

 立憲、希望、民進、共産、自由、社民の6党は国会内で幹事長・書記局長会談を開き、「国民に事実を隠蔽(いんぺい)する前代未聞の異常事態」との認識で一致。空転国会の事態収拾は与党側の責任だとし、現状では一切の国会審議に応じない方針を確認した。これを受け、13日の衆院本会議の開催が見送られた。ただ、延期を申し入れた同日の参院予算委の中央公聴会は、予定通り開かれる見通しだ。

 立憲の辻元清美国対委員長は記者団に「これだけ政府が醜態をさらしている。1年間にわたってだまされ続けてきた。どうけじめをつけるのかは政府与党の責任だ」と指摘。「けじめ」の中身については、佐川氏や安倍昭恵氏の国会招致を念頭に、「関係者が国会に来て真実を述べるということじゃないか」と述べた。

 野党6党は、今回の文書改ざんについて、「安倍政権5年間の総決算」(立憲幹部)と位置づけ、攻勢に手を握る。今国会では、安倍首相が目玉に掲げる働き方改革関連法案をめぐる調査データの不備を結束して追及し、裁量労働制の対象拡大の削除につなげた。

 民進分裂の影響で巨大与党を攻めあぐねていた野党6党が結束することで活路を見いだした矢先の政権の大失態。照準を定めるのは、麻生財務相の政治責任を問うとともに、内閣全体の責任を追及することだ。

 希望の玉木雄一郎代表は記者団に「歴史上の汚点といってもいいような深刻かつ重大な事態だ。組織的で悪質。麻生大臣の辞任は不可欠だ」と明言。共産の小池晃書記局長は「夫人の関与を資料から削るということは、(改ざん理由が)当時の理財局長の答弁との整合性ではなく、安倍首相の答弁との整合性だ。安倍首相の責任が問われる」と記者団に強調した。