2017.12.22 07:00 NEWS ポストセブン
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これほど政治家の「言葉」が国民を怒らせ、失望させた1年はなかった。2017年前半は権力に酔った暴言が相次いだ。

「こんな人たちに負けるわけにはいかない」という安倍晋三・首相の発言を筆頭に、「震災が東北で良かった」(今村雅弘・前復興相)、「あれは怪文書みたいなもの」(菅義偉・官房長官)、「このハゲーーー!」(豊田真由子・前衆院議員)もあった。

 彼らは選挙が近づくと国民の怒りを恐れて「真摯」「反省」を繰り返したが、総選挙に勝利すると再び本性を現わした。甘利明・元経済再生相からも同じく“喉元過ぎれば”発言が飛び出した。

「いまだ誤解があるようですので、正確に申し上げますが、私自身が何か問題を起こして大臣を辞任したわけではありません」

 内閣府の大臣室で業者から現金50万円を受け取った問題(*注)で辞任に追い込まれた甘利氏は、総選挙が近づくとホームページにそう書いた。

【*注/2016年1月、千葉県の建設会社役員が都市再生機構との補償交渉を有利に進めるために甘利事務所に口利きを依頼、総額1200万円を提供したと週刊文春が報道。甘利氏本人は大臣室と地元事務所で50万円を2回受け取ったとされたが、政治資金収支報告書には記載していなかった。甘利氏は「秘書がやったが監督責任を取る」と大臣を辞任した】

「誤解」も何も、甘利氏は問題発覚後、「国民に説明する」といいながら2年経った今もその責任を果たしていない。

「元検事の弁護士に調査を依頼して『法律違反は認められない』との報告書を得た」と一方的に公表しただけで、調査にあたったとされる弁護士の名前さえ明らかにしていないのだ。そんな報告書で潔白といわれても、菅官房長官の言葉を借りれば“怪文書みたいなもの”でしかない。

 甘利氏は総選挙に当選すると自民党行革本部長の要職に起用された。11月2日、BSジャパンの報道番組にテレビ出演した甘利氏は、「禊ぎは済んだか?」という司会者の質問に「はい!」と弾んだ声で答えた。

 視聴者は「はい!?」と聞き直すしかないが、そんな声は甘利氏の耳には入らなかった。

※週刊ポスト2018年1月1・5日号